楽天モバイルとドコモの組み合わせは悪くない

ドコモが楽天モバイルと通信用鉄塔のシェアリングに乗り出しました。これを直接的に報じたメディアは有りませんが、3月下旬のドコモが通信用鉄塔6,002基をJTOWERに譲渡したという報道はこういう意味となります。というのは、JTOWERは通信インフラのシェアリング事業を行っており、auとソフトバンクはこのための会社5GJAPANを2020年4月に設立していることから、このドコモがJTOWERに譲渡した鉄塔は、楽天モバイルとシェアするしかないからです。これで楽天モバイルは通信インフラの整備が進みますし、かつコストも安くなります。同様にドコモも鉄塔の投資費用を回収できると共に、今後の利用料も安くできます。今後の5Gインフラについては、ドコモ・楽天モバイル・JTOWERで共同で推進し、成果はシェアリングしますから、ネットワークの構築スピードが速まると共に、コストも安くなります。従って今回の組み合わせはとても合理的と言えます。

この両社の関係は2つの点で今後更に発展することが予想されます。

1つは、携帯ショップのシャアリングです。ドコモは契約のオンライン化の進展やコロナによる対面応対の抑制などによりドコモショップの採算が悪化していることから、今後現在約2,300あるドコモショップを減らしていく計画のようです。2022年度で約100店舗減らし、その後数年で400~500店舗減らす計画と報道されています。一方楽天は、店舗が少ないため出店を進めています。ということから、不採算のドコモショップを楽天モバイルのショップに転換することが考えられます。これでも採算が厳しいとなれば、両社の相乗りショップにすればよいことになります。保険では最近多くなっている店舗形態です。

2つ目は、楽天モバイルが現在auと結んでいるローミング契約をドコモに切り替えることです。楽天モバイルはこの4月から楽天回線のエリアを増やし、年内に全県楽天モバイルのエリアとし、auとのローミング契約を解消するとのことですが、それでも一部繋がりずらいエリアではauのローミング契約が残るようです。楽天モバイルの通信エリアカバー率は現在96%と言われていますが、このカバー率は「全国を500m四方に区切り、そのうち半分以上をカバーしていればエリアカバーとしては100%、半分未満であれば0%と見なす」と言う基準で算出したものであり、実際に楽天モバイルの通信回線が繋がる人口は50%もないと思われます。従って楽天モバイルがローミングなしで他社並みの評価を得るには、まだ相当の時間がかかることになります。これまでの経緯を考えればauとのローミング契約を続けることとなりますが、auのローミング料は高いと言われており、今回ドコモと通信インフラのショアリングに踏み出したことを考えると、ローミング契約をauからドコモに切り替えることも考えられます。ドコモはMVNOとの契約が一番多いですし、MVNOの契約をドコモショップで取り扱うことも始めています。ドコモは楽天モバイルにローミングをauより安価で提供することにも抵抗ないと思われます。

ドコモと楽天モバイルの協業が進めばドコモのユーザーが楽天モバイルに取られるとの危惧もありますが、両社のユーザー層は異なる(ドコモはドコモブランド信奉者が多く、楽天モバイルは通信品質は悪くても安ければよいというユーザーが多い)ため、auやソフトバンクより競合は少ないと思われます。

このようにドコモと楽天モバイルは組み合わせとしては相性が良く、今後協業が進むと考えられます。