日経の牙城を壊せるのはリクルート

新聞は毎年購読部数が減少し、今年は3,000万部(一般紙)を切ることになりそうです(2021年10月末の一般紙購読部数3,065万部)。2000年度が4,704万部となっていますので、22年間でほぼ半減したことになります。この原因は3つあって、

1つ目は、翌日配達の新聞ではリアルタイムのインターネット情報に太刀打ちできないこと

2つ目は、家計の収入が増えない中で4,000円を超える新聞購読料に家計が耐えられなくなっていること

3つ目は、新聞の世論操作をしようとする姿勢が嫌われていること

です。3については、最近の選挙で新聞の世論調査の結果が悉くはずれおり、これは国民の新聞に操作されないぞ、という意志の表れです。

読売・朝日・毎日という大手一般紙が大きく部数を減らす中で、経済専門紙と言われる日本経済新聞(日経)は、2021年度の朝刊販売部数が181万部、2022年1月1日時点の「電子版」有料会員数が80万部となっており、健闘しています。朝刊は2019年度と比べ約40万部減少していますが、電子版が約10万部増加しており、電子版へ移行が進んでいるように思われます。そのため日経は、紙の新聞を廃止しても、電子版でやっていける可能性があります(電子版の購読料を2,000円以下にすれば、移行が一挙に進む)。その原因は、日経が扱う経済記事は情報性が強く、インターネットの特性(情報検索)に合うからです。読売・朝日・毎日の場合、社会記事や政治記事とその解説記事が多くなっており、情報性よりも教養性・知識性に特徴があります。そのため検索に馴染まず電子版への移行は進まないと考えられます。そうなると購読部数が減る中では購読料を上げるしかなく、一般紙は富裕層向けの商品として生き残りを図るしかなくなります。

一方日経は、経済情報ネットメディアへの変貌が可能です。そうなると検索に適する情報収集が勝負となり、記事力よりも情報収集に強いライバルが登場することになります。その筆頭はリクルートだと思われます。リクルートが扱っている商品は、広告、人材斡旋など企業関係が多く、今でも多くの企業に入り込んでいます。ということは、企業が現在日経を通して流通させている情報を、リクルートのネット媒体に代えることは割と簡単にできます。日経の記事を見るとほぼ企業が広報活動の目的で情報提供したものであり、実質的には企業広告です。ならば広告営業に強いリクルートの方が日経より営業力が強いと思われます。そのためリクルートが企業情報の流通分野に進出すれば、日経から企業情報を奪って行く可能性が高いと思われます。日経のライバルはリクルートになりそうです。