課外授業止めるのならネット学習環境を整備すべき

最近いくつかのマスコミが九州の高校での朝課外の問題を取り上げています。特に熱心なのが毎日新聞です。毎日新聞では宮崎県駐在の記者が宮崎県の高校の朝課外の問題点を取り上げ、廃止へと誘導しています。

朝課外は、教育課程に基づかない非正規の授業で、通常の始業時刻より約1時間早い午前7時半ごろから45分間程度実施されており、「朝補習」「ゼロ時限」「早朝講座」「朝特課」とも呼ばれているとのことです。宮崎県では大学進学率が上昇し始めた昭和37(1962)年ころから始まったようです。都会では学校終了後塾に行く生徒が増えており、学習格差を埋めるために始められたようです。朝課外で教えているのは同じ高校の教師であり、教師にとっては負担になっていたようです。また生徒も全員参加のようになっていたため、やる気がない生徒からは不満が出ていたようです。

朝課外が取り上げてられていますが、これ以外にも午後の課外や夏休み課外、土日の模擬テストなどが行われていますが、これはさほど問題となっていないことから、早朝の辛さから生徒および教師の両方から不満として現れたようです。

この問題は一部の生徒や教師の不満に毎日新聞の記者が飯の種として飛びついたようですが、この問題を取り上げるなら、都会と地方の教育格差解消についても取り組むべきです。都会と地方の教育格差は絶望的な程開いています。東京を取り上げると、私立中学受験者は中学進学者の4割を超え、このうち半分が私立中学校(中高一貫校)に進学しています。私立中学校受験のためには遅くとも小学4年生から受験のための塾に通わなければならいと言われており、少なくとも東京都の半数の小学生が小学4年生から塾通いをしていることになります。この塾では難関私立中学合格を目指した意欲ある小学生が切磋琢磨しており、やる気のない生徒が多く混じった宮崎県の朝課外とはわけが違います。即ち、伸びが全く違うと言うことです。これを中学・高校と続けるのですから、東京都と宮崎県の高校生の学力に大きな開きがでるのは当然です。東京都と宮崎県を比較するのは酷ですが、九州内においても宮崎県の高校生の学力は低いと思われます。多分最下位です。それで確実に学力が下がる朝課外の廃止ばかり言うのですから、ちょっと驚きです。宮崎県の問題点は、朝課外と言うより通常の教育内容にあり、こちらの方の解決が急務です。

朝課外については、やること自体が問題なのではなく、やる気がない生徒まで参加させていること、教師に相当の報酬が支払われていないことが問題なのです。やる気がある生徒だけ参加とし、教師には相当の報酬が支払われれば、熱のある朝課外になりますし、不満は出ないはずです。そうなると生徒から朝課外に参加するよりもスタディサプリのようなネット学習を受けたいので、ネット環境のある教室を提供して欲しい、或いは集団で安く受けられるようにして欲しいとの声が出てくるようになります。地方では光回線が来ていない家庭も多いので、学校でいつでもネットをえる環境を整備してあげる必要があります。

朝課外はマスコミが取り上げなくとも消滅します。それは朝課外が生徒や教師の負担になっているからと言う理由ではなく、質的にも時間の有効利用の観点からもネット学習に勝てないからです。

マスコミは社会の不満をに取り上げる場合、その不満が出て来る社会構造を解明し、合理的な解決方法を提案する必要があると思われます。こんな記事を書いていたら宮崎県の朝課外の廃止より毎日新聞の廃刊の方が早いと思われます。