不正と手抜きはデジタル化で防止できる
近年日本の製造業で検査や製造方法、品質、認証などの不正が相次いで明るみに出ています。
今年を見ても2月小林化工、3月日医工・東洋紡・日野自動車、4月三菱電機で明らかになっています。この結果小林化工は営業譲渡で廃業に追い込まれましたし、日医工は私的整理を申請しました。日野自動車では大型トラックなどの認証が取り消され、トラックの車検に持ち込み検査が必要となる、認証を取り消されたトラックの製造ができないないなど経済活動に重大な影響を与えています。
日本の製造業は1980年代後半世界最強の地位にありましたが、その後韓国や台湾、中国の企業に抜かれ、今ではアジアでも中位にあると思われます。これはかって強みであった職人的従業員が少なくなくなる一方で、属人的な仕事のやり方が続いたためと思われます。韓国や台湾、中国は米国や欧州のシステマティックな製造・品質保証シムテムを導入し、商品の信頼性を高めました。一方日本は、モノづくりと言えば職人的経験と技が重要という考え方から抜け出せず、欧米流のシステマティックなモノづくりが根付いていないように思われます。
検査においても検査部署や検査担当者個人に全面的に依存し、組織ぐるみや個人の不正が続発していまます。考えてみれば当然起きることであり、何らかの手当てが必要でした。
検査は融通が利かない機械やコンピュータがふさわしい分野であり、人から機械やコンピュータに移し替える必要があると思われます。そしてその結果データをまたコンピュータでチェックし、個人の判断が入り込む余地を出来るだけ少なるすればよいと考えられます。
私が日本のメーカーが参考にすべきと考えるのはアマゾンです。アマゾンは発注から配送まで全ての過程をコンピュータで管理し、人の判断が入り込む余地を出来るだけ少なくしています。その結果温かみは有りませんが、間違いもなく、嫌な思いをすることもありません。アマゾンのやり方は、小売業ばかりでなく製造業、或いは金融業でも使えると思われます。4月に山口県阿武町で給付金の対象463世帯に1世帯当たり10万円振り込むべきところを1世帯に全額の4,630万円振り込むと言う重大ミスが起きましたが、これなどコンピュータでチェックできるようにしておけば防げました。町役場のシステムになければ銀行のシステムでチェックするようにしておくべきでした。今後デジタル庁で自治体の振り込みチェックシステムとして作成すべきだと思います。
検査などの不正は融通の利かないデジタル化が適する分野であり、近年日本でこれが次々と明るみに出ることは、製造業でもデジタル化が遅れているためだと考えられます。デジタル化の推進で不正と手抜きを根絶しないと日本の製造業の復活は有得ません。