豊田社長の報酬を業績連動制にすれば給与所得は上がる

5月31日、岸田首相の肝いり政策である「新しい資本主義」の実行計画がまとまったという報道です。首相になる人は小泉首相のように「郵政民営化」や「道路公団民営化」のように具体的にやりたいことがあるものとばかり思っていましたが、岸田首相のようにコンセプトだけ提示して、選んだメンバーに議論してしてもらい中身を具体化するというのは、ちょっと理解できません。メンバーも各業界の大御所を集めており、利害関係調節の場としか思えません。これでは中身のある内容は期待できませんから、岸田首相には多くの成果は期待できないと言うことになります。

こんな岸田首相も首相に立候補したときは、「所得倍増計画」と今日本の国民の多くが望んでいる公約を掲げていました。これは岸田首相が属する宏池会でかって池田勇人首相が掲げ、日本を先進国にした公約でした。だから岸田首相は池田首相の再現を目指すとばかり思っていました。ところが当選後には閣僚が岸田首相の「所得倍増計画」は「文字通りの『所得倍増』を指し示しているものではなく、多くの方が所得を上げられるような環境を作って、そういう社会にしていきたいということを示す言葉」であり、所得が2倍になるという意味ではないとの認識を述べ、岸田首相の目玉政策を否定しました。これで岸田首相の下で日本国民が豊かになる期待は無くなったと言ってよいと思われます。

そんな中岸田首相は「新しい資本主義」と言う言葉遊びに呆けていますが、そんなことをしなくてもお隣韓国を見れば豊かになる方法が見えてきます。最近の日本経済新聞で韓国サムスン電子従業員(約11万人)の2021年度平均年収は約1440万円であり、韓国企業では賞与10カ月以上も珍しくないと報道されているように、韓国では国民の年収が毎年上がり続けています。その結果ソウルではマンションの平均販売価格が1億円を超えていると言われています。韓国では企業の利益が従業員にまで配分されていることが分かります。

この原因は、韓国企業では業績連動制が徹底しており、好業績の結果が従業員の年収にダイレクトに反映されるためだと思われます。経営者を見ても、2017年のサムスン電子社長の年収は24億円ですが、固定給与は1.8億円であり、目標達成インセンティブ約8億円、特別賞与15億円となっており、業績連動制の徹底ぶりが分かります。一方日本はと言うと、2021年度の営業利益が約3兆円であるトヨタの豊田社長の年収は約4億円です。こんなトヨタでは、数年前までフランス人副社長には10億円以上の報酬を支払っておりグローバル企業とは思えない報酬政策を採っています。国内は豊田社長の報酬を押さえることで日本人役員の報酬や日本人従業人の収入を押さえているのです。これを見て豊田社長は従業員のことを考えていると賞賛する人がいますがとんでもありません。豊田社長の報酬がトヨタ従業員の収入を押さえ、かつ日本企業の役員および従業員の収入を低く抑えているのです。

従って、豊田社長の報酬をサムスン電子社長のような業績連動制にすれば、日本企業の多くがこれに倣い、経営者の報酬が業績連動制に変わります。その結果当然役員報酬や従業員の収入も業績連動制に代わり、好業績のときには今までになかった収入が得られるようになります。これが経営者や役員、従業員のやる気に繋がりますので、会社の業績は今より向上します。

このように日本人の収入を上げるには「新しい資本主義」などの議論は必要なく、豊田社長の報酬を業績連動制にすればよいのです。