大学文系入試は国立私立とも国語・英語・数学・情報がよい
6月1日のAERAdot.に早大政治経済学部(政経)の入試志願者がこの2年間で7,881人から4,872人へと約3千人も減ったという記事が出ていました。この原因は早大政経が共通テストで数学1.Aの受験を必須化したためと言われています。これまで政経は国語、英語が必須で、もう1科目が選択科目となっており、多くの受験者が世界史B、日本史B、地理B、政治・経済などの暗記科目を選択していたようです。ただし、数学Ⅱ.Bや物理、化学、生物、地学なども選択できるようになっており、大学としては理系人材も採りたかったことが伺えます。
大学としてはこのような入学志願者の減少は想定内のことで、別に驚いていないということです。一方私立文系のトップ学部を争う慶大経済学部との比較では、両方に合格した受験生のうち早大政経に入学する学生が増えたと言われています。早大政経の合格者には数学が必須である国立大学文系合格者が増えていることは予想されますが、慶大経済学部の合格者が早大政経に流れるという現象は理解できません。多分一時期だけの特殊な現象だと思われます。
早大政経が入試に数学を採用したことについては、各方面から賛同する声が多いようです。それは会社では文系の職場でも統計や分析などに数学的知識が必須となっており、数学を履修する必要性を痛感している文系出身者が多いためと思われます。ネットの書き込みを見ても文系入試に数学を加えるべきと言う人が多数派になっています。ただしこの問題につき書き込む人は高学歴の人が多いように感じられます。従って実際にアンケートをとれば反対の人が多いのではないでしょうか。やはり数学は苦手の人が多数派です。
私もバリバリの文系ですが、文系でも数学の素養は不可欠であり、大学入試からは外せないと思います。その最大の理由は、暗記科目だけだと言葉が思考や判断の中心ですが、世の中判断の重要な基準は数字となっており、仕事ばかりでなく生活する上でも数的感覚が不可欠だからです。多分振り込め詐欺も数的感覚が発達していれば引っ掛からないし、お金を巡るトラブルも少なくなると思われます。それに数学は論理的で曖昧さを許さないことから、仕事がきっちりしたものとなります。理系人と文系人の企画書や報告書を読めばこの点がはっきり違いまいます。理系人のそれには曖昧さが少なく、文系人のそれには曖昧さが多いのです。これは例えば車だと何万点の部品のうち1つでも欠陥があると動きませんが、文系の扱う言葉の世界では1つの内容でもいくつもの表現方法があり、内容は厳格に一致していなくとも物事は進みます。それくらい文系の仕事のやり方は緩いと言えます。しかし文系人の職場は生身の人間を扱うことが多く、曖昧さが人間関係の潤滑油になっていることもあり、悪いとばかりとは言えません。ただし、会社の幹部になるには数学的厳密さを身に着けておくことが必須となっているように思われます。
私は会社退職後コンピュータプログラムの勉強を始め、HTML・CSS、JavaScript、PHP、Python、SQLなどのプログラム言語を勉強しました。その後ITのこと全般が知りたくなり基本情報処理技術者試験を受けることにしました。この試験の最大の難所は情報数学とアルゴリズムです。その他の内容は文系人でも理解できますが、この2つの分野は頭の構造を理系に作り替えないといけないように感じます。そしてこの構造は文系人を違う世界に連れて行ってくれるように感じています。私が今考える大学文系入試科目は、国語・英語・数学(高校2年時程度)・情報です。情報をやるとなぜ数学が必要なのかが分かり、数学に興味が湧いてきます。情報が文系人の数学嫌いを緩和してくれる気がしています。現在国立大学文系では数学が必須ですが、他に物理・化学などの理科科目から1科目および日本史・世界史などの社会科目から2科目が必須となっており、専門学部制を採っているのに科目が多過ぎます。国立・私立の専門学部で学ぶ内容が異なるわけではないので、入試科目が異なる必要はありません。国立・私立とも国語・英語・数学・情報の4つで良いと思います。