安倍元首相の国葬は安倍レガシー一掃の幕開け

7月8日暴徒の凶弾に倒れた安倍元首相の葬儀は国葬となるようです。国葬はこれまで吉田茂元首相の例しかなく、妥当性について疑義も出ていますが、多くの国民は「勝手にやれば」という感じだと思います。安倍元首相が凶弾に倒れたことは痛ましいことですが、安倍首相の政治姿勢については評価が相半ばします。敵味方を峻別し、味方を優遇するやり方を良く思わない国民も多かったと思われます。そのため首相としての安倍氏に哀悼の意をささげる気にならない国民が多数派ではないか、と思われます。佐藤元首相や中曽根元首相が国葬でなかったのに、なんで安倍元首相が国葬?と思う年配者は多いと思います。確かに安倍元首相は首相在籍期間としては歴代最長かも知れませんが、佐藤元首相の沖縄返還や中曽根元首相の国鉄民営化のような歴史的事業は何も成し遂げていません。成し遂げたと言えるとすれば東京オリンピック招致開催くらいでしょうか。一方加計疑惑、甘利疑惑、森友事件、桜を見る会疑惑など安倍元首相の周りには、疑惑や事件が尽きませんでした。一言で言うと首相としての品格を欠いていました。首相退任後も菅政権や岸田政権にことあるごとに口先介入し、政権交代を無意味にする作用を果たしていました。

これを考えれば普通なら国葬はありません。これを岸田首相が法的根拠もなく国葬と決定したのは、岸田首相が深く安倍元首相に敬意を持っていたからではなく、逆にきれいさっぱり安倍元首相の影響を消し去りたかったためだと思われます。国葬という盛大な形式は、岸田首相の重しが取れてホッとした気持ち(もちろん個人の死については深く悲しんでいる)表れとも採れます。

そうだとすれば岸田政権は国葬後安倍元首相の影響力を徹底的に消しに来ます。これは江戸時代改易に伴い新領主が入国した際に採られた政策です。そうしないと新領主の支配力が確立しないのです。先ずは内閣改造で安倍首相の息がかかった閣僚を交代させるし、党役員人事でも同じです。高市政調会長は確実に交代です。交代させてももう文句を言う人がいません。そして次に行うのは安倍人脈の解体です。そのために安倍政権時代の疑惑が検察の捜査対象となります。現在捜査が行われているオリンピック組織委員会元理事の収賄疑惑などその代表例です。この捜査は安倍政権下では考えられなかったことであり、岸田政権になって官邸の検察・警察幹部が入れ替わったことが影響していると思われます。この元理事の出身母体は電通であり、電通は安倍政権下で官邸や官僚との結びつきを強め、国家予算を食い物にしたことから、その資金の一部が政治家や官僚に還流している疑いがあります。元理事捜査の本丸は電通であり、ここに捜査のメスが入れば安倍政権関係者および清話会所属議員、安倍元首相に気に入られた官僚が捜査の対象となる可能性があります。こうして安倍元首相に繋がる議員および官僚は追放されます。

この幕開けが安倍元首相の国葬です。