朝日新聞のリストラは若手から進めた方がよい

朝日新聞では9月から大リストラが始まるようです。将来計画の相談という名目で45歳以上の社員を対象に上司との面談が実施されるとのことで、実質的には退職勧奨が行われることになるようです。退職すれば退職金に加えて最大5,000万円の一時金が支給されるといことですが、5,000万円というのは45歳の社員でしょうから、3年分程度の年収になります。退職金が5,000万円あっても悠々自適の生活とはなりそうにありません。そのため対象となる社員は気が気でない状態が続きそうです。

朝日新聞は2021年3月期に441億円の赤字を計上したときもリストラを実施し、約110名が希望退職に応じたようです。こうなると年中行事となり、社内の雰囲気も相当悪化していると思われます。

日本新聞協会の資料によると2021年10月末時点での一般紙の発行部数(購読部数)は3,065万部となり、前年同期より179万部、5.5%減少しています。この結果一世帯当たりの一般紙購読割合は0.53となっています。2000年には1を超えていましたから、20年で世帯の半分しか購読しなくなったことになります。このペースで減少すれば20年近くで0になりますが、その前に事業として成り立たなくなりますので、新聞社に残された時間は少ないと言えます。

では消滅するかというとそんなことは無く、発行部数1,500万部程度は維持するのではないかと思われます。その場合紙の媒体は印刷代や配送、配達コストなどが掛かるため、1部一カ月1万円くらいの高級紙になるのではないでしょうか。そのため新聞購読は富裕層の象徴になると思われます。

新聞がこれまで部数を増やしたのは、明治以降日本社会が欧米のものを中心した情報という名の知識の獲得に熱心だったためと思われます。新聞は学校以上に豊富な知識の提供者で、新聞記者は大学教授並みに優秀な人だと見做されていました。朝日新聞の天声人語は難関大学受験生必読であり、良い文書の手本とされていました。

それがこの2,30年のインターネットの発達により新聞の弱点が露呈してしまいました。先ず情報伝達のスピードで新聞はインターネットに歯が立ちません。これだけで新聞の将来の衰退は見えていました。それに加えインターネットにはさまざまの個人の本音が溢れ、新聞の建前論的な記事では読者の共感を得られなくなってしまいました。そのため新聞の記事は、今ではネットの餌になっています。今の新聞情報はインターネットで報道された情報の後付けとなっており、新聞の独自性としては記者の解説か論説になりますが、これも軽薄なものが多く魅力に乏しくなっています。ということで新聞と言う事業は成り立たなくなっており、朝日新聞のリストラは辞めるのが早いか遅いかの順番の問題になっています。

そうだとすれば今辞めても再就職が難しい45歳以上を残し、再就職が容易な若手から退職(離職)勧奨した方が良いと思われます。若手の場合退職金はわずかなので、一時金として年収の3年分を支給します。そうすれば1,000万円以上になるので、十分時間を掛けて再就職活動できますし、学び直しもできます。こちらが社員全員にとって幸せな人生になるように思えます。