韓国はロシアを敵に回して大丈夫?
韓国の新聞は、ポーランドとの間で総額1兆円に上る武器輸出契約が成立したことを、韓国の軍需産業の優秀さが認められたと大々的に報道しています。ポーランド側の発表によると、ポーランドは韓国から戦車「K2」180両の年内引き渡しを受けるほか、技術移転を通じさらに800両以上を現地生産し、更に戦闘機「FA50」48機を購入するとのことです。今後の追加契約分を含めた契約総額は向こう10年間で約2兆5千億円に達する見通しとのことですから大型契約です。
軍事契約の場合、双方で同時に発表することが多いようですが、今回はポーランド側が一方的に発表しているところがポイントです。韓国政府や韓国企業は公式に発表していません。これはこの取引がポーランド側にメリットが大きいことを意味しています。ポーランドはロシア・ウクライナ戦争でウクライナに戦車を既に数百台供与しており、西側では最もウクライナを支援しています。ドイツやフランスがわずかな支援に留まるのと対照的的です。それはウクライナ、ロシアの同盟国ベラルーシと国境を隣接しており、ウクライナが敗れれば次は自国が侵略されるという危機感が強いためと思われます。
ポーランドが持つ戦車はポーランドが旧ワルシャワ条約加盟国だった影響でソ連製の戦車と現在NATOに加盟している影響でドイツ製製の戦車がほぼ半々となっているようです。この内ウクライナ軍も使っているソ連製の戦車をウクライナに供与しており、ポーランド軍の戦車が不足している状態にあります。NATO加盟国ですのでドイツ製の戦車が良いのですが調達が上手くいかないようです。ドイツは今一つポーランドを信用していないのかも知れません。或いはロシアを刺激することを避けているとも考えられます。
こんな中で韓国がポーランドにこれだけの戦車を供給することは、ロシアを怒らせる可能性があります。ポーランドは韓国製の戦車を入手したら、現在ポーランドが所有するロシア製戦車をウクライナに供与すると考えらえます。その戦車はロシア軍攻撃に使われることになりますから、韓国は間接的にロシアを攻撃することになります。
ロシアは米国に対しても武器の供与はロシアへの参戦と見做すと警告していますので、国力が劣る韓国に対してどのような態度に出るか見ものです。韓国はウクライナ戦争前までロシアとの関係は良好であり、多くの韓国企業がロシアに進出しています。そのうち現代自動車はロシアに乗用車工場を作り、外国車NO.1の販売台数を誇るまでに成功を収めていました(現在はウクライナ戦争の影響でロシア工場は操業停止中)。ウクライナ戦争が終了したら経済面でもロシアの仕返しが予想されるところです。また今後ロシアは韓国と対立する北朝鮮に武器を提供し、韓国を挑発させることも考えられます。同時にロシアと親しい中国も韓国に経済制裁を加えて来る可能性があります。
韓国は米国、中国、ロシアという強国の間で上手く立ち回っていると思っているようですが、今のような東西対立の状況では、どこからも信用されない国になってしまう可能性があります。ポーランドへの戦車などの輸出で韓国はロシアから敵国に見做されるのは必須であり、1兆円の商談成立、軍需産業がNATO加盟国から認められたと喜んでいる場合ではないと思われます。