商業高等専門学校(商業高専)も必要になっている
8月25日に「技術者になるから高専から大学3年次編入がエリートコースになる」というブログを載せましたが、高専と言えば一般に工業高等専門学校が浮かびますが、商船高等専門学校、電波高等専門学校もあります。全国に国立51校、公立3校、私立3校の計57校あるようです。
高専は学校教育法第70条の2により「深く専門の学芸を教授し職業に必要な能力を育成することを目的」として設立されることになっていますので、工業や商船ばかりでなく、商業、農業、漁業、スポーツ、芸術の分野でも良いことになります。工業が多いのは、産業界に工業高校よりも一段深い工業技術を身に着けた人材へのニーズが多いためだと思われます。企業の高専卒業者へのニーズは高く、希望者は全員就職できるようです。しかし就職せず大学や高専に設けられた2年制の専攻科(審査を受け学士の資格が取得できる)に進学する学生が多いようです。学校によっては5年修了時の就職者は20%を割り込んでいると言いますから、高専は大学工学部の前期課程の位置付けになっていると言えます。そうなら高校普通科から大学工学部に進学した学生と3年次で比較したら、基礎技術の点で高専卒業者が圧倒的に優れていると思われます。高専出身者なら大学4年時終了で就職しても企業は大歓迎でしょうが、普通高校からの進学者は4年時終了では役に立たないのではないでしょうか。そのため工学部では大学院修士課程進学が普通になっているようです。このように大学が専門学部制を採っている限り、普通高校からの進学よりも高専や工業高校からの進学が有利と言うことになります。今後大学は普通高校進学者よりも高専からの編入者を優先的に受け入れるようになることが予想されます。
ならば高専を作った方が良いと考えられるのは、商業高校分野です。商業高校も「職業に必要な能力を育成する」ことを目的としており、高専の期間短縮版と考えられます。職業教育は早くから実施した方が効果的であり、これは卓球やサッカーなどが中学からアカデミーに入れて教育していることからも分かりまし、私立中高一貫校が東大や医学部進学者の大部分を占めていることからも明らかです。工業高専も中学からの一貫教育にすれば天才的なエンジニアを輩出することが期待できます。商業高校分野の高専化は、文系の分野で工業高専の役割を果たすのが期待できます。例えば公認会計士や税理士の養成であり、弁護士や情報処理専門科の養成でも有効です。現在の商業高校でも簿記1級など公認会計士資格に必要な資格を取得している生徒がかなりいますから、5年間かけて教育すれば公認会計士試験に合格する生徒も出てくると思われます。税理士試験なら尚更です。合格できなくても複数の科目合格実績があれば大学の商学部や経済学部3年制に編入しても問題ないはずです。大学としてもこれらの資格試験の合格者が増える可能性が高いことから、大歓迎だと思われます。法曹コースを設ければ弁護士試験に合格する生徒が出ますし、短答式に合格する生徒はかなり出ますから、卒業後は大学法学部3年次編入ばかりでなく、ロースクール進学(ただし入学試験を受ける)の資格も与えられます。このように公認会計士などの文系の専門職業につくなら、その前期課程となる商業高専が有利であり、ニーズが大きいと思われます。各県に1つ国立の商業高専を設置するか、各県の最優秀商業高校を高専化することが考えられます。