NHKBS受信料は値下げではなく廃止すべきもの

NHKが来年秋から受信料を値下げするとの報道です。当初朝日新聞ではBS受信料だけと報じられましたが、その後日経が地上波も併せて値下げすると報じました。更に読売新聞は、BS受信料は月200円、地上波受信料は月数十円値下げと具体的金額まで報じました。BS受信料を払っている人は契約者の52.9%と約半数のため、恩恵を受けられない地上波契約者からの反発を考慮し、地上波受信料の値下げを追加したものと思われます。

何故当初BS受信料だけの値下げが報じられたかというと、NHKBSは公共放送とは言えずBS受信料の徴収はおかしいとの議論が昔からあるからです。この問題は2007年に菅総務大臣が総務省に設置した有識者会議「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」で取り上げられたようです。研究会は「BS放送はスポーツ中継や映画の視聴が多く、地上波とは違う付加的なサービスではないか」などと指摘し、受信料として徴収することに疑問を呈したようです。NHKは「さまざまな観点からしっかりと検討していきたい」と述べたということです。しかしその後NHKから検討結果が報告されることはなく、2018年に立憲民主党の寺田学議員が衆議院総務委員会で取り上げたようですが、進展なしのようです。高市早苗元総務大臣も「BS受信料は、撤廃を含めた引き下げが必要」と指摘していましたが、なんの変化もありませんでした。

これによればNHKは2007年以来BS受信料の問題をNHK内で検討を続けていることになります。そしてこれに触れることなく今回値下げでお茶を濁そうとしています。

誰が考えてもBSは民間のBSやCS、或いはネットの有料放送と全く同じ性格のものであり、公共放送の範疇には入りません。そもそもNHK地上波自体番組の多くが民間放送と同じものであり、公共放送と言えるものはニュース、天気予想、国会中継、選挙の際の政見放送、災害時の緊急放送くらいしかありません。NHKはわずかしかない公共的な番組をもって公共放送と称し、民間放送類似の番組制作費まで受信料で徴収し、更には有料放送の典型であるBS放送の料金まで強制的に徴収しています。

従って今NHKBS放送に求められるのは、BS受信料の廃止、任意契約への移行です。今でもBS受信料は放送法違反であり、裁判で不当利得として返還請求できると思われます。これが認められればNHKはこれまでに徴収したBS受信料を支払者に返還する義務が生じ、その総額は数兆円に上ります。殆ど返還不能ですが、こういうリスクを負いながらNHKはBS受信料を徴収していることになります。NHKがとぼけてBS受信料の徴収を続けるなら、集団訴訟を考える必要があります。

世界を見渡すと英国では2020年の総選挙で保守党がBBC受信料の廃止を公約に掲げ大勝し、2028年3月で廃止する方向で進んでいます。フランスでは今年3月の大統領選挙でマクロン氏がフランス公共放送の受信料廃止を公約に掲げ、当選後の5月に廃止を正式決定し実行しました(暫く税金で賄われる)。このように公共放送受信料はその妥当性が問題になり、選挙を左右するテーマになっています。日本でも本来なら野党がNHKスクランブル化を選挙公約に掲げるべきなのですが、党内にNHK出身議員がいることやNHK労組から支援を受けていることなどから、掲げません。自民党は受信料を人質に取りNHKを御用放送局化し、また子弟や関係者の就職先として利用していますので、NHKを守る姿勢です。そのため今の国会では国民の8割が望むNHKスクランブル化は話題にも上っていません。

NHKスクランブル化を望む人は、先ずは選挙でNHKを守る自民党には投票しない運動を展開する必要があります。有権者の一票でしかNHKのスクランブル化は実現できません。