岸田首相が長男を政務秘書にしたのは広島サミットのため?

岸田首相が長男で岸田事務所の公設秘書の翔太郎氏を政務秘書官に任命したことが批判を呼んでいます。その前の政務秘書官は同じく岸田事務所の山本高義氏であり、岸田事務所内のローテンションと言えないこともありません。菅首相も就任当初は菅事務所の公設秘書を政務秘書官にしていましたが、その後官僚と交代させました。やはり政治家個人の秘書では首相政務秘書官は務まらなかったように思われます。もちろん小泉首相時代の飯島秘書官のように抜群の存在感を示した人もいますが、あれは例外だと考えた方がよさそうです。

そのため岸田首相の長男政務秘書官任命については、自民党においても批判が多いようです。それは現在岸田首相の支持率が低迷しており、支持率の更なる低下に繋がると考えられているからです。案の定ネットでは批判一色です。批判理由で一番多いのは、身内びいきと言うことです。安倍首相時代に安倍首相は自分に仕えた秘書官や官僚を昇進で露骨に優遇しました。岸田首相は安倍首相と違って公平な人と思われていただけに、「岸田首相よ、おまえもか」という思いを持った人が多いようです。安倍首相の国葬で民意を読めないことが明らかになった岸田首相でも、ここで長男を政務秘書官に任命したら激しい批判を浴びることは分かっていたと思われます。それでもあえて任命したには何らかの狙いがあると考える必要があります。

これについて岸田首相は国会答弁で当初「適材適所で判断した」の述べ、それ以上の理由は述べませんでしたが、7日には「各省庁などから上がってくる情報を24時間、迅速に取捨選択して報告する役割や、SNSでの情報発信の役目を期待している」と述べたということです。長男任命の本当の理由に少し近づいたような気がしますが、まだ本当の理由は隠しているように思われます。

私は、長男を政務秘書官に任命した本当の理由は「広島サミット」対策ではないか、と想像します。来年日本で開催されるG7サミットの開催地について岸田首相は今年の5月、来年の5月19~21日の日程で広島市で開催すると発表しました。サミット開催には名古屋市、福岡市および広島市が立候補し、この中では福岡市と広島市の争いになると予想されました。福岡市は以前も立候補したことがありますが、サミット参加国の要人を受け入れらる高給ホテルがないとして落選していました。そのため福岡市は海外有名ホテルの誘致に力を入れ、ザ・リッツ・カールトンが来年3月開業することが決まり、この問題を解消したと思われました。一方広島は福岡市以上にホテルの問題があるように思われましたが、グランドプリンスホテル広島を充てるようです。このホテルは広島港から橋で繋がった島の中にあり警備がしやすいことが決め手になったと言われています。岸田首相としては当初からサミット開催地として広島市以外は眼中になかったと思われます。来月には核軍縮のための国際賢人会議も広島で開催されます。

このように岸田首相には選挙区広島市に対してこれまでの首相にはない愛着があるように思われます。岸田首相夫人は普段広島市で生活しているようですし、昨年の総選挙の際には3人の息子が岸田文雄長男・次男・三男の襷を掛け、選挙運動をしていました。これだけ家族ぐるみで選挙運動を行う政治家は珍しいと思います。岸田家にとっては、政治家は家業となっていることが伺えますし、岸田家の広島愛が感じられます。今回政務秘書官に任命された長男も高校まで広島市で生活したようですから、純粋な広島っ子です。従って広島サミットには思い入れもあるでしょうし、広島市と政府の準備部隊との連絡役として随時岸田首相に報告し必要な判断を仰ぐには良い役回りです。

岸田首相が不評を買うのを承知で長男を政務秘書官任命する理由とすれば、これが一番大きいように考えられます。