若者には早い段階で高給を経験させた方が良い

富士通は若手社員を1年限定で管理職級に登用する制度を導入し、新卒2年目の社員を課長級に抜擢したということです。1年限定にすることで管理職級を経験する機会を増やせるとなっていますので、管理職を経験さることが目的のようです。

でもこれでは管理職研修のようなもので、男子校などで重い物を体に付けて妊婦を経験するのと同じです。確かに妊婦の苦労は分かると思いますが、これから何か身に付くものはありません。それに今の若者にとって課長はそれほど魅力のある職制ではないと思われます。高給であれば管理職になれなくても良いと考える若者が多く、この若者には管理職ではなく早く高給を経験させることが今後の成長に繋がります。例えば入社3年目でも顕著な成績を上げれば年収1,000万円を得られるようにします。それが1年だけだったとしてもそれを経験した若者はまた1,000万円を得られるように努力します。そして1,000万円を自分の報酬の最低ラインとするようになります。この制度なら優秀な若者が次々に生まれ、会社は実力主義の集団となります。

歴史の長い会社においては、課長職は10年以上勤務しないとなれない最初の管理職であり、人事制度を作る人たちは特別な職制と思っているようですが、クラブ活動で部長やキャプテンを務めたことが無い人にとっては、部下の面倒を見ないといけない面倒くさい役割という認識しかないと思われます。特に今後はジョブ型採用・移動が増えると言われており、得意なジョブさえあれば会社を渡り歩けるようになるので、部下のとりまとめ役とも言える課長職は魅力が低下すると思われます。

私は現役の頃ベンチャー企業への投資の仕事をしており、ある投資先の役員に就任していたときのことですが、そのベンチャー企業で事業計画を大幅に下回ったことから役員会で社長の報酬引き下げを提案しました。そととき同じく役員に就任していた社長の元上司である上場製薬企業の副社長まで務めた方が反対しました。理由は「人は報酬に応じた仕事しかしないから、報酬を下げると今より仕事をしなくなる」ということでした。その方は製薬会社を4社渡り歩いており、会社を変わる度に職制を上げていました。年収も会社を変わる度に挙がり最後の会社では数億円だったと思われます。私の経験でも報酬の引き下げで良くなかった会社は無かったので、やけに説得力がありました。私の仕事も浮き沈みが激しく、良い報酬を得たときも酷い報酬のときもありましたが、良い報酬を味わうとまたその報酬を目指して頑張ろうと言う気になります。若者には高い目標を持ってもらうためにも、早い段階で高給を経験させた方が良いと思われます。