トマホーク発射型の潜水艦を米国から借りるべき

最近の報道を見ると日本の防衛力強化の動きが具体化してきたようです。そう感じたのは10月末に日本政府が米国の巡航ミサイルトマホークを購入する方向で米国と交渉しているという報道に接したときです。ロシアのウクライナ侵攻に伴いお尻に火の付いた日本政府は防衛予算をGDP比2%まで増額するとの方針は決定しましたが、具体的対策はとんと聞こえてきませんでした。聞こえてくるのは自衛隊が現在使っている12式地対艦誘導ミサイルの飛行距離を1,000km程度まで伸ばし、2026年頃の配備を目標とすることくらいでした。ミサイルの改良には時間が掛かるのは分かりますが、これで2025年までは今のままとなってしまいます。日本に必要なのは将来の対策よりも今の対策であり、これでは防衛の空白期間が出来てしまいます。そんな中で出てきたのがトマホークを米国から購入すると言う報道であり、ホッとしました。この話は以前米国に打診したことがあり、その際は断られたということですが、現在の世界状況は大きく変化しており、米国も自国だけで中国やロシアと戦っても必ず勝てる状況にはありません。そのためNATOに続きAUKUSという軍事同盟を作りましたが、東アジアでは日米同盟および米韓同盟はいずれも米国が一方的に日本および韓国を守ると言う約束であり、NATOやAUKUSのように相互に守り合うという強固な軍事同盟にはなっていません。米国が今後狙うのは日米韓の相互防衛同盟であり、そのために日本には防衛パートナーにふさわしい防衛力を求めるのは必然です。こんな状況において米国は日本からのトマホーク売却要請を断れるはずがなく、この話は実現すると思われます。

この報道後防衛省はトマホーク発射型潜水艦の開発を計画しているとの報道がありました。いわゆるSLBMというものですが、これは日本を取り巻くロシア・中国・北朝鮮・韓国は既に保有しており、無いのは日本だけという状況でした。いくら専守防衛とはいえ日本近海に侵入した潜水艦からミサイルを打たれたのでは防衛など出来るはずがなく、SLBMは一番厄介な武器です。これを保有しておれば相手も反撃を恐れて使用を躊躇しますから抑止効果があるのは明確です。現在日本は離島防衛と称して与那国島や宮古島、奄美大島にミサイル部隊を配備していますが、狭い島では海上からミサイルを撃ち込まれたら機能不全になる可能性が大きく、近海にSLBMを配備するのがよいと考えられます。このように領海が広い日本の防衛には陸上にミサイル基地を置くよりSLBMを配備することが有効です。

こう考えると配備が2030年以降になるのでは遅すぎると思われます。米国はトマホーク発射型の潜水艦を多数保有しており、日本の開発が終了するまで1,2隻借り受けることが考えられます。機密の塊である潜水艦をそう簡単に米国が貸すとは思えませんが、オーストラリアには原子力潜水艦を貸与するという話であり、それを考えると決して不可能ではないと思われます。防衛力強化の問題は現在と将来をシームレスに考える必要がり、日本で開発していたら配備に時間が掛かる装備については、米国か一時借り受けることを真剣に検討する必要がります。貸さないようであれば米国は当てにならないということです。