関電カルテル主導で元社長3人の起訴は確実

関西電力、中国電力および九州電力がカルテルを結び競争を制限していたとして公正取引委員会から1,000億円を超える課徴金を課されるとの報道です。そして関西電力がこのカルテルを主導していたとのことです

関西電力は2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故後、2度にわたり値上げした結果顧客流出が続いていたため、2017年7月高浜原発3、4号機の再稼働を受け、電気料金の値下げを実施し、反転攻勢にでました。2018年にはセブン―イレブンの中部、中国、四国地方の3,000店以上のコンビニへの電力供給契約を獲得するなど他の電力会社の大口取引先を奪って行きました。しかしその結果利益率が低下したためこの政策を転換し、他社にエリア外営業を見合わせることを提案し、中国電力と九州電力が同意したようです。

しかし、2019年9月に高浜原発が立地する高浜町の元助役から複数の関電幹部が金品を受領していた問題が発覚したことから、社内でカルテルが発覚した場合のダメージが心配され、2020年10月頃課徴金減免制度に基づき違反を公正取引委員会に自主申告することことが決定されたということです。 その後2021年4月から7月に掛けて公正取引委員会の調査が入り、この事実が認定され、今回の決定に至ったということです。自主申告した関西電力は課徴金の納付を逃れ、中国電力が約707億円、九州電力が約27億円の課徴金となるようです。

この報道を見て思ったのはやはり関西電力が悪の中心かということです。2019年には原発立地に絡んで役員および幹部社員が金品を受領したことが分かり、関西電量の汚れた社風が明らかになりました。

2020年3月にはこれに関する関西電力の第三者委員会の調査で、東日本大震災後の経営不振で役員報酬の減額を実施したにもかかわらず当時の森詳介会長は減額された退任役員を嘱託として任用しこの報酬名目で過去の減額分を補うことを考え、当時の八木社長らと協議しただけで取締役会に諮らず、森氏を含む元役員計18人に2016年7月以降計約2億6,000万円が支払われたことが判明しました。関電を巡る一連の不祥事の中で悪質性が高い問題として、会社は森会長ら9人が会社法の特別背任容疑で告発しましたが、これを捜査した大阪地検特捜部は役員報酬の補塡のみを目的とした仕組みとは言い切れず、かつ関電への損害立証も困難として2021年11月不起訴処分としました。これに対して市民団体が森元会長、八木元社長、岩根元社長の3人について検察審査会に審査を申し立てた結果、2022年8月1日検察審査会は起訴相当の議決を行いました。その後大阪地検特捜部は3カ月の再捜査期限を1カ月延長し12月1日に再度不起訴処分としています。期限を1カ月延長したのは検察がしっかり捜査して出した結論であり検察審査会は尊重して欲しいというアピールだと思われます。

退任役人の再雇用は減額された報酬を補填する目的であったことは明らかであり、取締役会にも諮っていなかったことから、特別背任罪に当たるのは明確です。関西電力には大阪府警からの再就職も多く、また3人が関西の名門関西電力の社長を務めた名士であることから、検察は最初から起訴する気がなかったと思われます。最近検察は起訴便宜主義を拡大解釈し、起訴を検察の自由裁量化しています。

カルテル事件が明らかになったことにより3人が検察審査会で再度起訴相当議決を受け、裁判を受けることになるのは確実だと思われます