通貨発行銀行が上場企業とは悪いジョーク

日本銀行は銀行の銀行と言われ、銀行界で最も格式の高い銀行です。一般人には何をしているかよくわかりませんが、各県に1つは支店があり、しかも立派な建物です。日銀は庶民は相手にしておらず、銀行を相手にしているようです。銀行から預金を預かったり、銀行に貸し付けも行っているようです。最近の大きな仕事は国債を銀行から買入れることやETFを株式市場で購入することになっています。こうなると資金運用会社のようですが、これらは金融調節機能としてやっており、金儲けは目的としていません。日銀が得た利益は必要経費を除き国庫に納入することになっており、日銀は営利企業ではなく国の機関(組織)であることが分かります。

それにも関わらず日銀は東京証券取引所に上場しています。営利企業でもなく、実質的に国の機関であるのになぜ上場しているのか不思議でなりません。日銀は資本金1億円で、出資は株式ではなく出資口数となっています。1口100円で100万口です。このうち55%を財務省が持っています。財務省が大口株主となっていた例は専売公社や電電公社、郵政公社、国鉄などの例があり、民営化前の状況と言えます。日銀が上場していると言うことは、日銀が民営化されたからでしょうか。でもそれは有得ません。日銀は国の重要な機能である金融政策を担っており、この部分は民営化には馴染みません。更に日銀は国の最も重要な機能の1つである通貨発行権を持っており、これを持ったまま民営化されることはあり得ません。こう考えると日銀の上場は何かの間違いではないかと思えてきます。世界を見渡すと米国で日銀に相当する米国連邦準備銀行は上場していませんし、EUの中央銀行である欧州中央銀行(ECB)も上場していません。最も日銀に近い英国中央銀行も然りです。こう見ると中央銀行は上場に馴染まないことが分かります。こういう中で日銀が上場しているのは世界でも意味不明の不思議と見られているようです。

日銀は1983年に上場(JASDAQ)していますが、上場によって資金調達をしたわけでもなく、上場は独立した組織であることを主張することが目的だったように思えます。この頃から日銀は国債の買い入れを増やしており、国債は国が発行することから日銀が国の機関なら債務者と債権者が同じとなっておかしいとなったようです。上場によってこの問題は多少カモフラージュされたようですが、逆に上場企業が日本の金融政策を行い、かつ通貨発行権を持つと言うおかしなことになっています。

日銀は財務省と一緒になって国の財政を調整する機関であり、歳入が少ないときは国債を銀行から買入れ国債の消化余地を作り、場合によっては国債の直接引き受けや日銀貸付を行い(現在は法律で禁止されているが法律を改正すれば可能)、国に必要な資金を供給する役割を持ちます。国が存続する限り必要な機能であり、国の一部を構成します。そう考えると日銀の上場は誤りであり、上場を廃止して本来の国の機関に戻す必要があります。日銀の上場は日本政府の愚かさの象徴と言えます。