高市議員は閣外に出てラストチャンスに賭けるべき

岸田首相が防衛費増額のうち1兆円を賄うために増税を行うと決定したことに反発が広がっています。先ずは自民党内の議論で罵声が飛び交ったと報道されましたが、10日には高市経済安全保障担当大臣が「賃上げマインドを冷やす発言をこのタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません」と自身のツイッターに掲載し、反対を表明しています。

高市氏は反対理由として「企業が賃上げや投資をしたら、お金が回り、結果的に税収も増えます。再来年以降の防衛費財源なら、景況を見ながらじっくり考える時間はあります」と述べていますが、その通りです。さらに、岸田総理が増税論を打ち出したおとといの政府与党連絡会議について「普段は出席の声がかかる一昨日の政府与党連絡会議には、私も西村経済産業大臣も呼ばれませんでした。国家安全保障戦略には経済安全保障や宇宙など私の担務分野も入るのに。その席で、総理から突然の増税発言。反論の場も無いのかと、驚きました」と手続きの不当性も訴えています。確かに西村経済産業大臣も記者会見で増税反対を唱えており、反対派の2人が呼ばれなかったのは意図的と思われます。岸田首相の場合、有識者会議のメンバーを見ても自身への賛同者ばかりで固めており、異論を受け入れて議論を深めるキャパがないようです。防衛費増税は財務省が強く主張しており、財務省は麻生副総裁の牙城ですから、岸田首相には選択の余地がないようです。岸田首相はすっかり麻生氏の操り人形化しています。

高市氏は現職閣僚でありながら岸田首相の方針に反対を唱えた訳ですから、身の振り方を考える必要があります。そもそも高市氏の経済安全保障担当大臣就任は、前職の政調会長を外すための便宜的なものです。それは高市氏も十分承知しており、就任当初「組閣前夜に岸田(文雄)総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いするとともに、21年前の掲載誌についても報告を致しました。翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛(つら)い気持ちで一杯です」と投稿するなど、大臣就任に気乗りではありませんでした。その後も今年9月にフジテレビの番組で経済安保に関する機密情報の取り扱い資格の制度化に向けた法改正をめぐり、「(岸田首相から」中国という言葉は出さないでくれと言われた」と暴露するなど、解任も覚悟しているような態度を見せていました。

これを見ると岸田内閣に留まるのは無理であり、辞職して閣外に出るべきだと思われます。

既に岸田内閣の支持率は30%前半まで落ちており、有権者の多くが岸田首相は日本のリーダーにふさわしくないと判断しています。首相としてのキャパがないという理由ですから、支持率の回復は不可能だと思われます。後は麻生氏にすがって3年の任期を全うできるかどうかですが、たぶん持たないと思われます。既に麻生氏の操り人形化していますから、今後公然と反旗を翻す議員が増えてきます。先ず防衛費増税反対派が多い安倍派の多くの議員が反岸田に回り、稲田議員など賛成派との間で安倍派分裂に発展します。それに岸田首相に冷遇されている二階派や菅グループが加わり、岸田政権はあっという間に反岸田勢力に圧倒されるようになります。それに輪をかけるのが来年4月の統一地方選挙での大敗です。ここでは岸田首相に失望している有権者が自民党に投票しないばかりか、旧統一教会の支援もなくなります。もっとも打撃が大きいのは創価学会が支援しないことです。地方選挙の場合は創価学会も候補を立てることが多いことからあまり支援は期待できなかったのですが、前回の東京都議会選挙を見れば創価学会が候補を立てていない選挙区でも自民党候補を支援していません。その結果自民党は大勝の予想が大敗という結果となっています。今回旧統一教会問題が表面化した結果、多くの国民が創価学会を統一教会と同一視していることから、創価学会員の自民党候補者に対する投票は殆ど期待できないと思われます。これが一番効くはずです。

こんな状況において高市議員は大臣を辞任し閣外に出て、次の総裁選挙に備えるべきだと思われます。前回の総裁選挙では論外の候補から一挙に有力候補にまで登り詰めました。これは明らかに安倍元首相の支援があったからです。国会議員票の多くは安倍元首相が確保したものと思われます。安倍元首相亡き後では前回並みの国会議員票は期待できませんが、安倍派が分裂含みであり、安倍派の中にはならば高市議員を応援すると言う議員も多いので、高市グループを結集するチャンスです。高市議員は政策オタク的なところがあり、仲間集めは得意ではないようなので、その点は古屋圭司議員や高鳥修一議員らに助けてもらえばよいと思われます。高市議員は年齢的にラストチャンスであり、勝負の時です。国民的テーマとして「NHKの改革」(NHKを公共放送と民間放送に分離する)なんかどうでしょうか。小泉首相の郵政民営化並みの風を起こせると思います。高市議員が首相になるためには自ら風を起こす必要があります。