偏差値が高いから医者は割に合わない
会社を退職してから開業医にかかるようになりました。そこで驚いたのは開業医のレベルの低さです。まともに問診もしませんし、検査をせずに薬を出します。判断根拠が全く分からないので、不安は解消されません。私は会社員時代にバイオや創薬ベンチャー企業への投資を行っており、技術評価のため多くの有名大学医学部の先生にお会いし話を聞きました。その方たちはしっかりしたエビデンスに基づき話をしていました。エビデンスが無い場合にははっきりと「分からない」と言っていました。そこから医学におけるエビデンスの重要さを知りました。そのため全ての医者がエビデンスに基づいて診察しているとばかり思っていました。ところが開業医においてはエビデンスなんか糞くらえでした。「とりあえず薬を出しておきます」「効かなかったら別の薬にしましょう」です。病院に来る患者は多くの場合一時的な不調で、放っておけば治るような人が多いからこれでも良いのかも知れませんが、なんでも証拠や根拠が必要とされたビジネスの現場にいた者からすると、大いに違和感があります。開業医は開業するまでに身に着けた医療技術や知識を開業後ずっと使いまわしているように感じます。高校時代に日本史や世界史など新しい知識が不要な授業のベテラン教師が黄色くなったノートを見ながら授業していましたが、それに近い印象です。進歩が止まっているのです。
私はバイオや創薬ベンチャーに投資していましたから聞くのは得意ですが、ちょっと突っ込んだ質問をすると答えに詰まり不機嫌になる開業医が多いように思います。ちょっと人の命を預かる人のレベルとは思えない人もいます。開業医の世界は私が見てきた業界の中では成長が見られない、または劣化が酷い業界のように思えます。多分医者は大学の医学部に合格したときが能力のピークでその後は落ち続けていると思われます。医者で社会的評価が高い人は殆ど見かけません。それくらい医者は社会人になってから人間的成長性がないように思われます。
私が高校生の頃は、偏差値が高い生徒はこぞって医学部進学でしたが、今でもそのトレンドは変わらないようです。私立中高一貫校ができ、医学部合格の偏差値は更に上がったようです。しかしこのブームも転換点に来ているように思われます。というのは今後医者過剰時代になりますし、報酬の面から言うと医者より遥かに多い報酬を得られる業界が増えてきたからです。私の若い時代においては、高給取りと言えば医者でした。偏差値が高い高校生が医者を目指したのは、高給が得られるからといういのが最大の理由でした。多分今でもそうだと思います。しかし現実には医者より高給の人はたくさんいますし、業界でみてもそうです。例えばメガバンクや損保、生保は30代半ばで年収1,500万円以上ですし、大手商社は更に高いです。ITでは大学卒新人に1,000万円だすところも出て来ています。たぶん日本の資産家1,000人に医者は1人も入っていないのではないでしょうか。大部分が株式公開したベンチャー企業経営者になっています。医者は偏差値の高さの割には報酬に恵まれていないことが分かります。中学生や高校生にこれが知られてくると、偏差値の高い生徒は医者ではなくベンチャー企業経営者を目指すようになります。既に東大では、一番優秀な連中はコンサル会社で経営を学んだ後ベンチャー企業を起こすことを目指すようになっています。今後はこれまで医者を目指した高偏差値の中高生はベンチャー企業を興し株式を公開して、資産家になることを目指すようになると思われます。偏差値が高いから医者は割に合わなくなっています。