公明党は西東京市議会選挙でも得票数12%減
2022年12月25日にはタレントの東国原英夫氏が立候補した宮崎県知事選挙の投開票が注目されましたが、私がもう1つ注目したのは西東京市議会議員選挙でした。その理由は元創価学会でお笑いタレントの長井秀和氏が立候補していたことと最近の地方議会選挙で公明党が得票数を減らしており、西東京でも同じとなるか興味があったからです。
結果を見ると長井氏は3,482票でトップ当選、公明党は前回の10,354票から9,250票と1,104票、約12%減らしています。ただし公明党の議員数は6名(定数28名)と前回と変わっていません。
2022年4月17日に行われた春日部市議会議員選挙で公明党の得票数は前回より約18%、2022年12月9日に行われた茨城県県議会議員選挙でも同じく約13%(投票当選した3名で比較)減っており、今回の西東京市議会議員選挙でも約12%減ったことは、公明党の支持母体である創価学会員に何らかの変化が起きていると考えられます。直前には国会で旧統一教会員の活動が問題になっており、類似性がある創価学会が注目されていました。国会に被害者救済法が提案されたときには、これで活動に影響を受ける創価学会の指示で公明党が法案を潰しに来ると思われましたが、あっさりと成立しました。創価学会としてはここで表立って反対すれば社会的に孤立すると考えたように思われます。創価学会の利益に反する活動は徹底的に弾圧したかっての創価学会からは考えられない態度でした。ここから創価学会組織の変化が伺い知れました。最近の選挙で公明党の得票数が減っている直接の原因は創価学会2世、3世が学会内候補者に投票していないためだと思われます。2世、3世にとって学会は自分が悩んで辿り着いた宗教ではなく生まれながらにして親からお題目を唱えさせられ無意識に創価学会員になっており、1世と比べると動機に弱いところがあります。中学・高校・大学では学会員であることを隠して生活しており、創価学会員であることが分かると友人が去っていく場面も多く経験しています。特に恋愛の場面では悩ましいことが多かったと思われます。こういう環境を生きてきた2世や3世にとっては、今回の統一教会問題は自分のこととして考えさせられることが多かったと思われます。特に統一教会を脱会した2世の若い女性信徒がテレビで顔を曝して問題の解決を訴えていた場面は創価学会の若者に多大な影響を与えたと思われます。この結果が春日部市議会議員選挙、茨城県議会選挙および西東京市議会議員選挙での公明党候補の10%を超える得票の減少となって表れているように思われます。
このように創価学会員が選挙において学会の指示に従わなくなるターニングポイントは2020年11月の大阪都構想の住民投票にあります。この住民投票では、公明党は当初この構想に反対していましたが、賛成しないと次の衆議院選挙で公明党が議員を出している選挙区に維新の候補を立てると維新に脅され賛成に回りました。しかし創価学会は会員に大阪都構想に賛成の投票をするよう指示はせず自由投票としました。たぶん選挙で創価学会員が自分の意志で投票した初めてのケースだと思われます。誰だって誰かに指示されて投票するのではなく自分の意志で投票したいものであり、この結果創価学会内では公明党候補が立候補していない選挙区では自由投票とする方針になって行ったと思われます。それがはっきりと結果に表れたのが2021年7月に行われた東京都議会議員選挙でした。この選挙では選挙前の新聞調査では自民党の圧勝が予想されていましたが、結果は惨敗した前回より8議席増加しただけの33議席に留まりました。この原因については今でもよくわかっておらず、その結果新聞が選挙予想にすっかり自信を無くしています。公明党は23議席で前回と同じであることから、この選挙では創価学会員は一致団結して公明党候補に投票していたことが分かります。一方公明党が候補を立てなかった選挙区には自民党候補がいた訳ですが、ここでは公明党は自由投票とした(自民党候補に投票するよう指示を出さなかった)ため、前回投票した都民ファーストの候補に投票した学会員が多かったと考えられます。こう考えると公明党の議席は前回並で自民党の議席が伸びなかった原因が説明できます。
このように創価学会内に選挙での自由投票の流れがあることに加え、今回の統一教会問題で創価学会の問題点に気付いた学会員が創価学会離れをしていることが最近の地方議会における公明党の得票数減少になっていると思われます。この流れは今後ますます強まり、3年後の国政選挙では公明党はわずかに議席を減らし、自民党は大幅に議席を減らすことになると考えられます。