世界の評価は韓国6位、日本8位の現実

1月7日の読売新聞の報道によると日本政府は今年5月19日~21日の日程で広島で開催される先進7か国首脳会議(G7サミット)に、韓国の伊錫悦(ユンソンニョル)大統領を招待する方向で検討に入ったということです。覇権主義的な行動を強める中国や、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮、ウクライナを侵略したロシアへの対処が求められる中で、北朝鮮・中国と国境を接し、ポーランドなどに戦車や自走砲などの武器を供給する韓国は、西側諸国にとって重要な同盟国であることを示す必要があります。日本と韓国の間には元徴用工の損害賠償訴訟問題があり、日本政府は今後の韓国側の対応を見極めた上で招待を最終判断する構えとのことです。

しかし韓国の国際的地位は最近急上昇しており、このような日本の上から目線は通じなくなっています。これを示すものがUSニューズ&ワールド・レポート(USニューズ社)が1月2日に発表した、「2022年世界最強の国(the planet’s most powerful countries)」ランキングです。これは、1万7,000人へのアンケートを基に軍事力・経済力・外交力などを得点化し、85カ国・地域を評価したもので、USニューズ社が毎年発表しています。今回のランキングによると、国力1位は米国、2位は中国、3位はロシアとなっています。ロシアが3位なのを見ると軍事力と外交力が相当重視されているようです。この調査で注目されるのは、4位ドイツ、5位英国に次いで6位に日本と入れ替わって韓国がランクインしたことです(7位フランス、8位日本、9位UAE、10位イスラエル)。G7参加国であるカナダ、イタリアよりもアラブ首長国連邦やイスラエルが上位に入っているなどおかしな点はありますが、8位までの順位は十分あり得るものです。このレポートで韓国については「韓国は1960年代以降、地道に成長を続け、貧困の減少を経験し、現在は世界有数の経済大国の一つとなった」「世界最大規模の国民総貯蓄(GNS)と高い水準の外貨準備高を誇る」「ここ数年間、家計可処分所得が増加した」「国際連合、G20、東南アジア諸国連合、世界貿易機関など、多くの国際機関に加盟するなどしている」と紹介しています。これを見ると韓国は経済の急激な成長で存在感を増していることが伺えます。サムスン電子の2022年度の売上高は30兆円を超え、現代自動車(起亜を含む)の同年販売台数は685万台と世界3位に躍り出るなど韓国企業の躍進は目を見張るものがありますし、KPOPも世界中を席巻しています。これが世界中で韓国強しの印象を与え、今回のアンケートでの躍進に繋がっているように思われます。軍事力においても韓国の軍事費は日本とほぼ同じ額(5兆円強)であり、ポーランドなどに戦車や自走砲など約2兆円を輸出する契約を締結しており、ここに来て軍事強国であることも明らかになってきました。世界の強国と言えるためには強い経済力を持つのは当然として強い軍事力が必要であることは、国連の安全保障理事会の常任理事国を見れば明らかです。今後安全保障理事会の常任理事国の数が増えるとすれば日本より韓国が有力な候補となると可能性があります。

このように今回の広島サミットに招待するしないに関わらず世界的には日本より韓国が上という見方が広がっています。来年以降日本以外のG7メンバー国から韓国を加えてG8にしようと言う動きになると思われます。

尚、本レポートでは日本について「世界で3番目に経済規模が大きい国」「世界最大の自動車、電子機器および鉄鋼生産国の一つ」「茶道など、伝統芸術や音楽、武術などで有名」などと旧来の記述をコピーしたと思える記述となっており、日本への関心の低さが分かります。