大谷選手のエンジェルスを買収するのはソフトバンクGかも

米メディア「ロサンゼルス・タイムス」は1月5日、NBAウォリアーズのジョー・レイコブ・オーナーが大谷翔平選手が所属するエンジェルスの買収を検討していると報じました。レイコブ氏が買収してからウォリアーズは常勝チームに変貌を遂げ、過去8シーズンで4度のNBAタイトルを獲得しており、レイコブ氏はスポーツビジネス界ではやり手として知られているようです。レイコブ氏は子供の頃にエンジェル・スタジアム近郊に引越し、球場で7年間ピーナッツの売り子をしていたことがあるそうで、エンジェルスへ強い愛着があると言いますから、相当有力なようです。その他にはLAタイムスのパトリック・スンシオン氏、日系企業など少なくとも6社が買収を検討しているとなっています。

ここで気になったのは「日系企業 」です。ロサンゼルス・タイムスが報じるのですから、まったく根拠がないことはないと思われます。メジャーリーグ球団を買収できる日本の企業とすれば、資金力やスポーツビジネスとの関わり、国際的知名度などから候補は限られてきます。これについてネットを調べていたら昨年10月27日のFridayデジタルにスポーツジャーナリストの友成那智氏が推測記事を書いていました。それによると先ず第1の候補がソフトバンクグループ社長の孫正義氏、第2の候補が楽天グループ社長の三木谷浩史氏、第3の候補がZOZOTOWN創業者の前澤友作氏となっています。いずれも豊富な個人資産と野球への関わりから出てきたものですが、このうち三木谷氏は現在楽天モバイルの資金繰りで苦境にあり候補から外れます。また前沢氏の個人資産ではエンジェルスの買収資金に足りないことから前沢氏も外れます。残るのは孫氏1人となります。

やはり孫氏個人と言うより孫氏が社長を務めるソフトバンクグループ(SBG)による買収が有力なのではないかと思われます。というのは、孫氏が動く状況が次の通り整っているからです。

  • 買収予想資金が現在30億ドル(日本円で約4,400億円)までなっていると言われており、これを出せる個人や企業はそう多くない。孫氏はこういう場面で登場していとも簡単に買って世界中を驚かすことが好きであり、絶好の舞台となっている。
  • 孫氏は昨年ビジョンファンドで5兆円近い損失を出し、かっての「稀有の投資家」の評価から「へぼい投資家」の評価に変わっており、名誉を挽回する絶好の機会と言える。
  • SBGは日本で福岡ソフトバンクホークス球団を経営しており、野球ビジネスにノウハウがある。
  • メジャーリーグ球団の買収価格は上昇し続けており、投資として見ても悪くない。

福岡ソフトバンクホークスでは長年エースを勤めた千賀投手が5年7,500万ドルでニューヨーク・メッツと契約し、福岡ソフトバンクホークスでも選手を繋ぎとめておけないことが明らかになりました。そのせいかホークスは今オフ近藤選手に7年50億円、オスーナ投手に1年6憶5千万円、有原投手に3年12億円(金額は報道ベース)などメジャーリーグの契約と間違うほどの契約を乱発しています。これでもメジャーリーグとの差は埋めがたく、結局メジャーリーグに追いつくにはメジャーリーグ球団を買収するしかないという結論に達します。これまで豊富な資金力にモノを言わせて欲しいものは何でも手に入れてきた孫社長にとっても、メジャーリーグ球団オーナーという地位は望んでもなかなか得られないものであり、自分の偉大さを示すには打ってつけです。

孫社長は昨年11月11日の中間決算発表の席上今後は自分の情熱を投資ではなくARMの成長に向け、今後決算発表には登壇しないと表明しましたが、現在ハイテク市場は低迷しており、CPUアーキテクチャーのライセンスを事業の柱とするARMも暫く浮上しそうにありません。こんな中CPUの専門家でもない孫社長がARMに対してできることは殆どありません。そう考えると孫社長はARMではなく、エンジェルスの買収交渉に注力している可能性が浮上します。こちらの方がエキサイティングなことが好きな孫社長向きです。ということでSBGによるエンジェルス買収の可能性は相当高いと思われます