岸田首相の有識者会議のメンバーがおかしい
岸田首相は大きな政策の策定や変更をしようとする場合、有識者会議を設けます。これは歴代首相の共通したやり方かも知れません。しかし岸田首相の有識者会議のメンバー選定には特徴があります。会議のテーマと人選が全くマッチしないのです。例えば岸田首相が目玉政策と言っていた「新しい資本主義」に関する有識者会議(新しい資本主義実現会議)のメンバーは、次の通りとなっています。
翁 百合 日本総合研究所理事長
川邊 健太郎 Zホールディングス株式会社代表取締役社長
小林 健 日本商工会議所会頭
櫻田 謙悟 経済同友会代表幹事
澤田 拓子 塩野義製薬株式会社取締役副会長
渋澤 健 シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役
諏訪 貴子 ダイヤ精機株式会社代表取締役社長
十倉 雅和 日本経済団体連合会会長
冨山 和彦 株式会社経営共創基盤グループ会長
平野 未来 株式会社シナモン代表取締役Co-CEO
松尾 豊 東京大学大学院工学系研究科教授
村上 由美子 MPower Partners GP, Limited. ゼネラル・パートナー
米良 はるか READYFOR 株式会社代表取締役CEO
柳川 範之 東京大学大学院経済学研究科教授
芳野 友子 日本労働組合総連合会会長
レベッカ・ヘンダーソン ハーバード大学ユニバーシティプロフェッサー
この中で目につくのは日本商工会議所会頭、経済同友会代表幹事、日本経済団体連合会会長、日本労働組合総連合会会長という日本の経済3団体および労働組合統括団体のトップが入っていることです。これでは既存の利害関係者の利益調整の場であり、「新しい資本主義」など生まれるはずがありません(そもそも自分の創成にかかる概念の中身を会議体に丸投げした時点で内容は期待できませんでした。リーダーならせめて骨格くらいは示す必要があります)。案の定中身は以前経団連が発表したベンチャー企業振興策の焼き直しが主で、目新しいものは何もありませんでした。これで岸田首相では経済が良くならないことがはっきりしました。
次に今年9月に防衛力の抜本的強化に向けた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」を設けましたが、そのときのメンバーは次の通りとなっています。
中西寛 京大院教授
翁百合 日本総合研究所理事長
上山隆大 総合科学技術・イノベーション会議議員
喜多恒雄 日本経済新聞社顧問
国部毅 三井住友フィナンシャルグループ会長
黒江哲郎 元防衛事務次官
佐々江賢一郎 元駐米大使
橋本和仁 科学技術振興機構理事長
船橋洋一 国際文化会館グローバル・カウンシルチェアマン
山口寿一 読売新聞グループ本社社長。
ここで注目されるのは、翁百合日本総合研究所理事長と国部毅三井住友フィナンシャルグループ会長です。翁氏は元日銀職員であり、金融政策が専門です。国部氏は住友銀行一筋のバンカーです。防衛問題に金融関係者が2名も加わることに違和感があります。この2人に岸田首相はどんな役割を期待したのでしょうか。この会議があっても無くても結果は変わらなかったように思われます。有識者会議はそんな使い方が多いのですが、岸田政権の場合特に露骨です。メンバーの選定から意味不明なことが多いのです。これを見ていると岸田首相が本当に嫌になります。こういうのが積み重なって今の岸田政権の低支持率となっていると思われます。
新年早々岸田首相は「異次元の少子化対策」を打つとぶち上げ、そのためにまた有識者会議を立ち上げるようです。そのメンバーを見れば有識者会議の結果は大体察しがつくものになるはずです。岸田首相が立ち上げる有識者会議のメンバーには岸田首相の空っぽの頭がよく映し出されています。メンバーの話が来た人は引き受けないのが自分のためです。いつ「みなし公務員」にされ逮捕されるかも知れませんし。