新聞消滅のカウントダウンが始まった

新聞協会が発表している新聞購読部数調査によると2022年10月末の購読部数は2,869万部となり、前年同期の3,065万分から196万部減少し、ついに2,000万部台に突入しました。2000年の4,740万部から約40%の減少となります。世帯で見ると2000年は1世帯に1部取っていた勘定ですが、2022年では0.49世帯に1部となっています(ただし核家族化で分母の世帯数が2000年の約4,741万世帯から2022年の約5,822世帯への約1,081万世帯増加している)。最近の減り方を見ると今年の196万部から遡って毎年180万分、242万部、195万分減少しており、ほぼ年間200万部のペースで減少しています。このペースで行けばあと15年で0となる計算になります。現実的には流石に0にはならないでしょうが、印刷や宅配のシステムが維持できなくなる部数は1,500万部と予想されますので、あと7,8年で現在の新聞制度は終焉を迎えそうです。

日本において新聞をこのような状況に追い込んだのはインターネットですが、インターネットは1995年頃から普及し始め、2000年に入って定額常時接続が広がり爆発的に利用が進みました。新聞の翌日報道に比べインターネットは即時報道であり、先ず時間の面で新聞はインターネットに太刀打ちできません。またインターネットの報道は原則無料ですが、新聞は月額4,000円以上の購読料であり、この面でも勝負になりません。これらのことを考えれば今日の新聞の苦境は早くから予想できました。しかし新聞社のこれに備える動きは極めて緩慢だったように思えます。各社ともインターネットに電子版を設定しましたが、中途半端になっています。無料で記事を公開するのなら自分の首を絞めることになりますし、有料化すれば紙の新聞が成り立たなくなります。またインターネットの無料のニュースに慣れた読者は容易に電子版を購読してくれません。新聞社はこの悩ましい状態を20年近く続けています。これだけ購読部数が減少しても読売、朝日、日経などの社員は今でも高給なようですから、新聞はおいしいビジネスモデルだったようです。

江戸時代にはやった木版の瓦版が、1870年代になると高速活版印刷の新聞にあっという間に駆逐されましたが、時が変わって今度は新聞が瓦版の立場になっています。今後については、一般全国紙は1紙を残し消え去ると考えた方がよさそうです。現在でも600万部以上の部数を誇る読売が残るのではないでしょうか。朝日は2022年末で400万部を下回ったと言われており、この1年間の減少割合は15%近くになるようですから、ちょっと残るのは難しいと思われます。既に記者の質やモラルが低下し、読むに堪えられない記事が増えており、これが部数減少に拍車を掛けています。あと3,4年で新聞での単独経営は不可能となる分岐点に差し掛かると思われます。「かって新聞というものがあったんだよ」という時代は遠く無いと思われます。