日銀黒田総裁の次のサプライズはマイナス金利の撤廃

1月14日、長期金利が日銀の誘導目標である0.5%を突破し0.545%まで上昇しました。日銀はこれを防ぐために13,14日で10兆円の国債を0.5%で買入れたということです。なのに0.545%まで上昇すると言うことは、日銀が買入れる国債価格よりも安い価格で日銀以外に売却する投資家がいると言うことです。これは投資家が日本の物価は今後も上昇し、日銀はほどなく長期金利を引き揚げざるを得なくなると読んでいることが最大の原因のようです。

それと日銀の黒田総裁の任期が4月8日までであり、黒田総裁としてはそれまでに正常な政策に戻しておきたいはずですから、政策修正(政策正常化)に動くという読みがあると思われます。12月政策決定会合での長期金利変動幅0.25%の引き上げはその一環でですが、これで正常化したとは誰も考えないと思われます。従って投機筋がここを衝いて来るのは当然のことと言えます。黒田総裁としては、長期金利が正常化することは退任に当たって望ましいことであり、市場状況を利用してあっさりと長期金利を引き上げて来るかもしれません。0.5%でも1.0%でも経済にはそんなに影響ないと考えられます。

黒田総裁の任期終了に当たっての政策正常化の最後の仕上げはやはりマイナス金利の撤廃です。日本銀行は現在短期の政策金利をマイナ0.1%としていますが、9月22日にスイス国立銀行が短期の政策金利をマイナス0.25%から0.5%に大幅に引き上げたことによって、世界中で短期の政策金利がマイナスなのは日本だけになっています。黒田総裁は9月の日銀政策会合後の記者会見で「日本経済は回復過程にあり、金融緩和が必要だ。当面、金利を引き上げることはない」と述べていますし、12月の日銀政策決定会合でも短期のマイナス金利維持を決定しています。

しかしマイナス金利政策は金融の量的緩和に殆ど効果がなくなっているばかりか、日本経済を病人マインドにする原因になっています。米国や欧州がマイナス金利を撤廃したのは物価高騰が最大の原因ですが、もう1つは経済の病的状態が回復したことを表明するためでもあります。日本には1990年初めのバブル崩壊後自信喪失病の状態にありましたが、これはマインドの問題であり、マイナス金利の導入でも回復しませんでした。今年に入って物価が上昇し始めて経済が動き出しましたが、これは海外要因によるものであり、マイナス金利の効果ではありません。黒田総裁は経済の成長によって物価を2%以上引き上げ、それがまた経済を成長させる好循環を作ることを狙っていたわけですが、順番は違ってもこれは実現しつつあります。後はマイナス金利で醸し出される経済の病人マインドを払拭する必要があることから、黒田総裁の次のサプライズはマイナス金利の撤廃です。