日銀副総裁に翁百合氏を予想する

政府は日銀の黒田東彦総裁の後任人事案を副総裁2人の候補案とあわせて2月に衆参両院の議院運営委員会理事会に示すとのことです。衆参の議院運営委員会理事会は日銀正副総裁人事を初めて知ることになるわけですから、重要な組織だということが分かります。自民党の人事で議員運営委員長人事が注目される理由が分かります。

政府関係の数ある人事の中で日銀正副総裁人事ほど事前に漏れない人事はないように思われます。また政治家がこれほど予想を口にしない人事もありません。一方エコノミストの間では自分がなって欲しい人を中心に総裁候補の名前が飛び交っています。一番人気は雨宮副総裁の昇格のようです。2番目が中曾元副総裁かと思います。3番目くらいに黒田総裁と同じキャリアである浅川アジア開発銀行総裁の名前も挙がっています。

私の総裁候補予想は、日銀の保有国債残高が約576兆円(2023年1月20日現在)に達し、日銀が国債保有機関化していることから、財務省とコミュニケーションが出来る人でなければならないということで、浅川アジア開発銀行総裁でした。日銀出身者だと日銀の独立性がふとした瞬間に意識され、国債の買入・買い支えに躊躇することが心配されます。この予想にはかなり自信を持っていたのですが、最近ぐらついています。それは岸田政権が安倍氏の影響力排除に動いているからです。例えば安倍氏の功績である東京オリンピック招致に貢献した高橋治之元電通専務の逮捕を許したり、安倍氏・菅氏に重用された自称国際政治学者三浦瑠璃氏のご主人の会社に捜査が入ったり、安倍政権ならあり得なかったことが起きています。岸田政権が安倍氏に近かった人たちを排除している(検察がこれを利用している)ことが伺えます。ということは安倍氏の目玉人事だった黒田総裁の後任に安倍路線踏襲の印象を与える浅川アジア開発銀行総裁を持ってくるとは考えられません。それに岸田首相が首相として一番魅力を感じているのは人事と言われており、サプライズを狙う可能性があります。ということで総裁人事の予想はお手上げ状態ですが、副総裁人事の予想ついてはかなり自信があります。それは翁百合日本総合研究所理事長を指名するという予想です。その根拠は岸田政権の2つの肝入り有識者会議に翁氏が入っているからです。「新しい資本主義に関する有識者会議」(新しい資本主義実現会議)と「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」です。この2つに共に入っている人は他に居らず翁氏は岸田政権のお気に入りであることが伺えます。そして翁氏は8年間の日銀勤務経験があり、ご主人は元日銀金融研究所所長を務めている日銀マンですから、日銀と深い縁があります。更に政府に受けが良さそうなこととして翁氏の義父が元厚生事務次官、内閣官房副長官を務めた翁久次郎氏であることがあります。私もこの名前は聞いたことがあり、かなり優秀な官房副長官だったと記憶しています。

岸田内閣では女性の登用が少なく、岸田首相もこれを気にしてか「異次元の少子化対策」など女性受けを狙った政策を打ち出して来ていますので、日銀副総裁2名のうち1名は女性にしてくる可能性が高いと思います。そうなれば翁百合氏が最有力となります