増税支持派は年収2000万円以上で反対派はそれ以下
岸田首相は防衛力増強を打ち出し、防衛費をGDP2%にまで高める道筋を引きました。これについては麻生副総裁から「あなたは有事の宰相だ」とおだてられ、本人も悦に入っているようです。自分の考えがないと言われる岸田首相でも、防衛力増強についてだけは自分の考えを持っているように思われます。過去に防衛大臣をやったことがなく(実際は繋ぎで1週間だけやったことがあるが名前だけ)、かつ防衛族でもないのにこれだけ防衛力増強に執心するのは不思議です。岸田首相は外務大臣が長い(約5年)ことからロシアとの北方領土交渉でラブロフ外相と会うなかでラブロフ外相から武力をちらつかせる発言があって、日本の防衛力増強の必要性を痛感していたのではないでしょうか。そんな中ロシアのウクライナ侵攻があり、防衛力増強について迷いはなかったように思われます。防衛省のミサイル導入計画などかなり実践的な内容となっており、岸田首相の本気度が感じられます。
ここまでは多くの国民が岸田首相に同感だったと思いますが、最後に防衛力増強の費用については一部(約1兆円)を国民に増税の形で負担してもらう必要があると主張したことから、多くの国民の反発を招いてしまいました。当時物価の上昇が続き、国民の多くが生活していけなくなるのではないかという危機感を持っていました。そんな国民の感情に配慮することなく岸田首相は増税論を押し通しました。その姿勢は「正義は我にあり」のようでした。確かに論理的にはその通りですが、生活できなくなりそうな国民が簡単に承諾できるはずがありません。これは正義対正義の戦いであり、自民党税調では増税が承認され岸田首相が勝利した形ですが、選挙で国民の反撃を食らい岸田首相が負けることになります。
この増税については選挙への影響が大きいことから自民党でも賛成者と反対者が割れています。反対を表明したのは高市経済担当大臣、西村経済産業大臣でした。2人の反対の論拠は増税が経済を冷やしてしまうことでした。賛成論者は、稲田朋美元防衛大臣と猪口邦子元少子化担当大臣などでした。稲田議員は高市大臣が反対したことから岸田首相に取り入るために賛成論を述べたように思われました。猪口議員は元国際政治学者の血が騒いだものと思われます。賛成論者には他に宮沢自民党税調会長や甘利元幹事長など大物がいます。テレビのワイドショーでもこの問題が取り上げられましたが、その中で東大法学部首席卒業、元財務相官僚・弁護士、信州大学特任教授などの華麗な経歴で知られる山口真由氏が増税を支持していました。テレビのワイドショーでは増税論は小数派だったように思われます。
こうして増税派を見てくると1つの特徴が浮かび上がります。それは年収が2,000万円を超えると言うことです。国会議員の年収は平均2,100~2,200万円と言われていますから、年収2,000万円プレーヤーの代表と言って良いと思われます。山口真由氏の場合はテレビに引っ張りだこですし、受験関係の本も多数出版して印税収入も多いでしょうから、年収は億円単位かも知れません。年収が2,000万円を超えると多少の増税があってもそんなに生活には影響なく、がたがた騒ぐことはないという経済状態です。しかしこれが2,000万円未満になるとそうは行きません。年収1,000万円台はサラリーマンの憧れですが、生活はそれほど楽ではありません。子供2人いるとすればギリギリの感じだと思われます。だから増税反対派が多いはずです。
こういうことで今の増税賛成派と反対派の対立は、年収2,000万円を境とした対立であり、岸田首相が考えるようにそのうち反対派は諦めることにはなりません。4月の統一地方選教で自民党は増税反対派から投票してもらえず惨敗することになります。