西村康稔首相でGDP倍増政策を

岸田首相は防衛費倍増や異次元の少子化対策など財源の大幅な増加を伴う政策を打ち出しています。本人は誰もやらなかったことをやるのが自分の使命だと格好をつけていますが、これには異次元の増税や社会保険料の引き上げが必須です。今は防衛費については一部(約1兆円)を増税で賄う、異次元の少子化対策では増税は考えていないと言っていますが、足りない額については国民負担となるのは間違いなく、いずれ異次元の国民負担を求められることとなります。これでは現実の生活が成り立たない国民としては総論賛成、各論反対となるのは当然です。

国民に各論でも賛成してもらうためには、国民の所得が上がることによって税収が上がる、社会保険料収入が上がる仕組みを作る必要があります。例えば防衛費倍増はGDPを倍増(約1,000兆円)すれば達成できます。こども予算(2023年度約4.8兆円)もそうです。GDPを倍増すれば多くの家計の所得も倍増しますので、税率や社会保険料率を引き上げる必要はありません。中国の軍事費は約25兆円と日本の約5倍ですが、GDPに対する割合は1.74%と日本とそんなに変わりません。どうして実額でこんなに差が付くかと言うと中国のGDPは約2,200兆円(2021年度)と日本の約4倍あるからです。1992年の中国のGDPは日本の約9分の1だったのに、2021年には中国の方が約4倍も多くなっているのです。この間中国のGDPは約43倍増加しているのに、日本は横這いです。これから言えることは、中国の防衛費はGDPの増加に伴って自然に大きくなったものであり、日本のように増税で増やしたのではないということです。これは韓国でもぞうです(韓国の国防費は日本とほぼレベル)。1992年には韓国のGDPは日本の約11分の1ですが、2021年には3分の1に縮小しています。この間韓国のGDPは約5倍増加しています。このように中国も韓国もGDPを伸ばして防衛予算などを増加させており、日本のように増税や社会保険料の引き上げによっていません。

日本のGDPは1990年以降約30年間約500兆円で横這いであり、こんな国世界のどこもありません。一方予算は1990年の約66兆円から2022年には約107兆円へと約1.6倍になっており、この増加分を国債と増税で賄い、同時に社会保険料を引き上げてきました。その結果国の財政と家計は破綻の一歩手前に追い込まれています。国の財政と家計破綻を防ぐ方法は1つしかありません。他国と同じ様にGDPを増やすことです。日本はこの30年GDPが全く増えていませんから、その分を取り返すだけでも倍増は可能です。この30年GDPの増加が止まったのは、円高で輸出を諦め内需主導に移行したからです。少子高齢化が進む国内経済でGDPが増加するはずがなく、横這いはまだいい方とも言えます。戦後から1980年代半ばまで日本は輸出を伸ばし、世界3位の経済大国になりました。1990年代になって輸出を諦めたことがGDPの横ばいの原因になっていることは明確です。お隣韓国は1980年代半ばまでの日本を手本として輸出立国を標榜し、GDPに占める輸出の割合が約42%とドイツ(約48)に次ぐ輸出国となっています。これが韓国躍進の原因であり、そもそも1980年代半ばまで日本が行ってきた政策を行っているだけです。従って日本も輸出立国に立ち返れば現在のGDPに対する輸出の割合約16%を韓国並み(約42%)に伸ばすことは可能であり、ドイツ並み(約48%)にまですることも可能という見解もあります(元ゴールドマンサックス証券調査部長デービット・アトキンソン氏)。菅首相はアトキンソン氏の主張を採り入れ成長戦略会議を設け、アトキンソン氏を委員に任命しましたが、岸田首相になって成長会議を廃止し、「新しい資本主義実現会議」に替えました。この責任者が安倍内閣で「一億総活躍政策」を主導した経産省の新原氏だと分かって2つの会議の類似性に納得しました。共に抽象的で、GDP増加に繋がらないのです。新原氏ではGDPは動かせません。

こんな岸田政権でGDPを動かせるとしたら西村康稔経産大臣だけだと思われます。西村大臣は経済産業省の官僚上がりであり、経済知識と経済政策の経験が豊富です。また安倍内閣や菅内閣で西村大臣に仕える官僚が何人も変わったことで分かるように仕事の厳しさでも定評があります。岸田政権での経産大臣就任は本望だったようで、土日の事業所訪問が目立ちます。訪問される会社としては迷惑でしょうが、そんなことを気にしない点が魅力的です。これまで西村大臣程経済知識が豊富で主体的に事業所訪問する経産大臣はいなかったと思います。西村大臣も高市大臣と同じ様に国会議員の仲間づくりは下手なようなので、次の首相候補には上がっていませんが、GDP倍増が出来るとしたら西村大臣しかなく、是非に西村首相でGDP倍増政策を実施して欲しいと思います。岸田首相は開成OBということで期待しましたが、どうも高校からの入学であり、東大に3回落ちて早大に行った言わば開成の落ちこぼれですが、西村大臣は中学から灘で、東大卒ですから間違いなく秀才です。今度は本当の秀才に期待したいと思います。