北九州市長選、自公推薦なら案山子でも当選するってか?

北九州市長選が2月5日に投開票され、無所属新人で元厚労省官僚の武内和久氏が自民・公明・立民・国民推薦で元国交省官僚の津森陽介氏を破って当選しました。この選挙は津森氏を4党が相乗りで推薦したことから津森氏の当選で決まりと思われていました。しかし選挙期間中に情勢が大きく変わり、党や団体の支援を受けない(受けられない)武内氏が有権者個人の支持を増やして行ったようです。武内氏は2019年の福岡県知事選に自公推薦で立候補し、現職の小川知事に敗れていましたので、北九州市でも知っていた人は多かったと思われます。また知事選挙に出る前は九州朝日放送の夕方の情報番組にコメンテーターとして出演しており、イケメンで語り口も穏やかなことからそちらで知っていた人(主婦層)も多かったと思われます。このように武内氏は知名度においては津森氏を遥かに凌駕していました。しかし前回の福岡知事選には麻生氏の子飼い候補として今回の津森氏のように全面的に自民党の推薦と団体の支援に乗っかっていたため、麻生氏に反感を持つ有権者に嫌われ得票が伸びなった面が大きいと思われます。今回の丁度逆のパターンです。今回麻生氏は福岡県知事選で武内氏を応援した経緯から津森氏の推薦決定に加わらなかったと言われていますが、同時に武内氏の応援にも加わっておらず、これが武内陣営にはプラスに働いたと思われます。福岡では麻生氏はあのぞんざいな物言いから嫌われており、選挙で麻生氏の応援を受けたら得票数が減る状況です。

今回4党の相乗り推薦を受け、多くの団体が支援に付いて圧倒的に有利だった津森氏が敗れ、当初勝ち目はないと言われた武内氏が勝利した要因についてはいろいろ言われていますが、ズバリ自公の候補者選定ミスだと思われます。私は当落が決まってからテレビで両者の当選の弁、敗戦の弁を聞きましたが、資質に雲泥の差がありました。これ程候補者に大きな差を感じたことはこれまでありませんでした。武内氏はテレビのコメンテーターのときの爽やかさはそのままで政治家らしい力強い語り口になっていました。一方津森氏はとても大人とは思えないぼそぼそとした語り口で、かつお辞儀もまとめにできない有様でした。津森氏は選挙期間中に計画された公開討論会を候補者で1人だけ欠席したということですが、これは自分の意見を人前ではっきり言えないという素性がばれるのを恐れたためと思われます。多分これらのことが有権者に見破られ、4党支持者の間でも「こりゃダメだ」となって行ったと考えられます。

これが今回の北九州市長選を左右した要因であり、4党の敗因はこんな候補を市長に担いだことにあります。福岡の場合、福岡県知事選でも自民党県議会議員が自分たちの言うことを聞く人(元副知事)を候補に担ぎました。今回の北九州市長選では4党相乗りだったこともあり、「案山子」を担いでも勝てるという傲慢さが感じられます。もう自民党の存在そのものが社会悪になっています。