雨宮総裁打診報道は日経の世紀の大誤報
2月14日政府から日銀総裁・副総裁候補が発表になり、日銀人事狂奏曲もフナーレとなりました。この狂奏曲を一番楽しんでいたのは人事好きの岸田首相だと思われます。マスコミでいろんな下馬評が上がる度に「お前らの誘導に乗るほど馬鹿じゃないよ」とばかりに楽しんでいたと考えられます。今回の人事案を岸田首相自身が考えたとは思えません(金融関係者にそこまで人脈がない)ので、誰か提案した人がいるはずです。それは財務省・東大出身者となります。財務省出身者の殆どは東大出身なので、要は財務省出身となります。そうなると私は当初岸田首相側近である木原官房副長官が浮かびましたが、72才の植田氏とは年齢ギャップが大きく木原氏の人脈から上がってくるとは思えません。18日のヤフーニュースに岸田首相のいとこである宮沢洋一自民党税制調査会長の推薦ではないかという推測記事がありました。宮沢氏は大蔵省出身で植田氏と同じ年ですし、同じような時期に米国ボストンにあるハーバート大とMITに留学していたことで交流があったこと、植田氏は大蔵省財政金融研究所に2年間在籍していたことなどが理由となっています。何となく交わる気がします。
今回の日銀人事では2月6日に日経が電子版で政府は日銀総裁を「雨宮日銀副総裁に打診した」と報道しました。政府は2月14日に日銀総裁・副総裁人事案を国会に提示すると言われていましたので、これで次期日銀総裁は雨宮氏で決まりと思われました。しかしこの報道について岸田首相は「何か申し上げることはしない。私自身、検討を続けていきたい」「報道は観測気球ではないか」とも述べていましたので、ちょっと違うかもとも思われました。当たればスクープだし、外れれば大誤報と言うことになります。マスコミにおいても7,8,9日は雨宮氏に決まりのような雰囲気でしたが、10日になって複数の新聞が日銀総裁候補に植田氏が決定と報じました。こちらはどうも政府から公平にリークされたようです。
こうなると日経は面目丸潰れです。6日の報道は「打診」であり、外れたときの保険は掛けていたと言えます。しかしこの時点での打診は決定と同じであり、この時点で打診して辞退されることは通常の手続きでは考えられません。従ってこの時点で「打診」報道をすることになった日経内の経緯が解せません。終わってみれば大誤報であり、日経の信用を棄損したとして関係者は処分されて然るべきです。今回の日銀総裁人事については、日経ウォッチャーの間では圧倒的に雨宮副総裁でした。その理由は黒田総裁の大胆な金融緩和策の設計は雨宮氏が担っており、今後の出口戦略の設計も容易であるということでした。私の考えでは、黒田総裁と真逆のことをすることになるから、黒田総裁に深く仕えた雨宮氏は有得ない人選でした。日銀ウォッチャーがこれだけ雨宮氏を推した理由としては、雨宮氏は話術に優れ日銀ウォッチャーと温かく接していたため、親近感を感じていたためと思われます。日銀ウォッチャーの雨宮推しはアイドルグループのメンバー推しと同じであったように思えます。
その代表が打診記事を書いた日経記者であり、日経ではその程度の記者が記事を書いていると言うことが分かった日経の世紀の大誤報でした。