自民党の公明党候補推薦は改宗の勧めと同じ

公明党が次期衆議院選挙の10増10減に関係する選挙区で候補者擁立を次々と発表しています。先ず1月には広島3区に斉藤鉄夫国土交通相、東京29区に岡本三成氏の現職2人の擁立を決定しました。2月には埼玉14区に石井啓一幹事長、愛知16区に伊藤渉政調会長代理の擁立を検討していると報道されています。この選挙区は10増10減に伴い自民党で候補者調整が必要となっている選挙区であり、自民党候補の代わりに公明党候補を統一候補にしようという狙いのようです。これまで自民党が当選者を出していた選挙区が合区されるか分区されてできる選挙区であり、常識的に考えれば自民党から候補を出すことになります。この常識を破って公明党が自党の候補を統一候補にしようとするのは、自民党からすれば横暴のようにも見えます。しかし自民党からそれ程激しい反発は上がっていません。自民党の森山選挙対策委員長は2月22日の講演で「10減のところは全部、自民党がかぶっている。10増のところを四つと言われてもなかなか難しい」「公明党にお願いをする選挙区、自民党が責任を持つ選挙区というのをしっかり仕分けをしていくということが大事だ」「これぐらいはしょうがないと思うところで決着しないといけない。選挙調整で変なことにならないように努力を尽くしたい」と述べたということですので、半々での決着を考えているようです。

ここまで公明党が頑張るのは、最近の地方選挙で公明党の得票が10%以上減少しており、次の総選挙でも比例得票が10%以上減少し、その結果比例区議員が1,2名減少することが予想されることから、この分を小選挙区で取り返そうとしているためだと思われます。それと旧統一教会問題で自民党が今後旧統一教会の支援を受けられなくなる結果、公明党への依存度が高くなるということもあります。

しかし地方選挙で公明党候補の得票が10%以上減少していることを考えると、自民党が総選挙で公明党の支援を受けたとしても公明党支持者からの得票は10%以上減ると考えられます。要するに公明党の出せる票が10%以上減少しており、これまでのように当選の決め手にはならなくなっているということです。ということは、昨年の参議院岡山選挙区の小野寺紀美候補のように公明党の支援は受けないと表明した方が得票を伸ばせる可能性が高くなります。公明党からの支援がないと当選できないと考えている自民党議員は考え方を変える時期に来ています。

それ以上に自民党が総選挙において公明党候補を統一候補にすることによって心配されることは、今までの自民党支持者が維新に移ることです。前回2021年の総選挙東京12区では公明党候補を統一候補にした結果、公明党候補101,020票、維新候補80,323票と2万票余りの差となっています。ここでは自民党支持者が公明党を嫌って維新候補に投票したと考えられます。公明党=創価学会であり、自民党が支持者に公明党候補への投票を依頼することは、創価学会への改宗を勧めるようなものです。これは自民党支持者にとって心理的抵抗が大きく、公明党候補に投票せず政策が自民党とほとんど変わらない維新の候補に投票するようになるのは自然な行動と言えます。これが徐々に進行しており、維新躍進の原因の1つになっています。自民党は公明党との協力関係を見直す時期に来ています。