地方国立大学は偏差値に応じた入試科目にすべき

国立大学の入試も終わりこれから合格発表を待つばかりとなっています。国立大学の入試は5教科7科目がほとんどで私立大学3教科3科目と比べて負担が大きくなっています。そのため私が高校生の時代は、国立大学は全部の科目ができる頭の良い生徒が行く大学で、私立大学は少数の科目しかできない頭の悪い生徒が行く大学だと思っていました(地方だったせいでもあります)。しかし社会人になって見ると職場で必要とされる知識は狭い範囲であり、私立大学の入試科目が妥当であることが分かりました。例えば、国立大学の5教科7科目だと試験科目が多いため、各科目の理解が浅くても合格できますが、私立大学の3教科3科目だと各科目を深く理解していないと合格できません。そのため私立大学の学生の方が深く掘り下げる方法を身に着けることになります。もちろん国立大学でも東大と京大の合格者は5教科7科目でも私立大学トップである早慶の合格者を上回る深く掘り下げる能力があると思われます。しかしその他の国立大学合格者は入試科目数が多いのが原因で、深く掘り下げる能力において早慶はもちろんその次のランクの私立大学にも及ばなくなっています。大学卒業後の職場では狭い範囲の知識しか必要とされませんので、その狭い範囲で深く掘り下げる能力が必要であり私立大学卒業生が活躍することになります。

国立大学の5教科7科目入試は、大学の使命が教養人養成だった頃の考え方に基づく制度のように思われます。今では大学の使命は職業人養成に変化しており、5教科7科目入試は使命にそぐわなくなっています。私立大学の3教科3科目入試は現実妥当性が高いことになります。

ここで考えるべきは、地方国立大学の入試科目です。国立大学は東大から地方の国立大学までほぼ5教科7科目の入試科目となっていますが、これが偏差値による大学序列を固定化する原因になっています。偏差値70以上の東大と偏差値40台の地方国立大学が同じ5教科7科目で入試を実施すれば偏差値通りの学生が集まります。偏差値が30近くも違えば学力は倍くらい違うので、地方の国立大学が東大の学生と同じくらい思考力のある学生を集めようとしたら、入試科目を特定の分野に必要な科目に絞る必要があります。5教科7科目の総合点では東大生に勝てなくても3教科3科目ら東大生に負けない早慶生は多いように、科目を絞れば東大生に負けない生徒は相当おり、地方国立大学はこういう生徒を集める必要があります。従って地方国立大学は今の偏差値に応じて入試科目を大胆に減らす入試改革が必要です。例えば工学部機械系学部では数学、物理、英語の3科目、工学部化学系学部では数学、化学、英語の3科目、法学部では総合論述(日本史、政治経済などをテーマとした総合論述問題)、英語の2科目などが考えられます(尚国語の試験を課していないのは、数学、物理、化学などでも高度な国語力がないと解けない長文の問題とするため)。こうすれば狭い分野でなら東大生にも負けない学生が集められます。こうしないと地方の国立大学は単なる大卒資格付与機関となり、地方の政治経済文化をけん引する人材を輩出することは不可能です。