企業は電通にむしり取られている

2月28日東京地検特捜部は、電通など6社を東京オリンピックを巡る独占禁止法違反(不当な取引制限)で起訴したという報道です。電通は容疑を認めているということですが、電通が簡単に容疑を認めたのには、電通からの逮捕が担当部長1人に留まっており、影響が軽微であるためと思われます。東京オリンピックを巡る事件は、贈収賄と談合ですが、いずれも東京オリンピック開催準備においては想定された取引内容であり、通常の商慣習であったと思われます。これが事件となったのは、東京地検特捜部の事情(ゴーンを国際指名手配してくれたフランス検察へのお礼)であり、逮捕者された方々は被害者だと思われます。そのため逮捕された方々には罪の意識はないと思われます。

一方東京オリンピックやコロナを巡る給付金事業などで電通の中抜きの酷さが明らかになりました。東京オリンピック関係で電通にある運営を委託したら、必要な人件費が1名20万円の単価となっており何をする人かと思っていたら、単なる連絡要員やお茶くみ程度だったこともあると言います。どうも人員の確保に何社もの会社を仲介させ、そこで各社が仲介料を抜く仕組みのため、このような単価となるようです。運営を受託して貰わないと大会が成立しないことから、費用は電通の言い値を受けるしかなかったようです。そういえばコロナ給付金事業においても電通は子会社や関連会社への再委託を繰り返し、769億円の予算のうち電通グループで108億円(約14%)を抜いたと報道されています。コロナ給付金と言う人道に関する事業でもこうですから、オリンピックのようなショービジネスでは半分抜いていてもおかしくありません。

今回電通のぼったくりが明らかになって電通に対する不信感を募らせているのはテレビ広告を出している企業ではないかと思われます。テレビ番組を見ると同じような内容で、同じ顔ぶれの芸人が溢れていますが、彼らの多くが多額の報酬を得ています。若手でも節税会社を持っているのが普通のようです。弁護士が仕事を差し置いてテレビのコメンテーターを勤めるのもこちらの方が収入が良いためだと思われます。これらの報酬の原資は企業の広告費であり、多くは電通を通して獲得しています。企業では自社の経費は1円単位で管理していますが、テレビ広告については電通の言い値が多いと思われます。全国に広報する手段としてテレビしかなかった時代は仕方なかったと思いますが、今はインターネットがあり、視聴率としてはテレビを上回ります。そのためインターネット広告費がテレビ広告費を上回っているようですが、テレビ局の業績を見ると各社相変わらず好業績となっています。これは企業が相変わらず電通の言い値で契約しているからであり、見直しが必要だと思われます。提供する番組の制作コストを基準にして広告費を決める方法を探る必要があります。トヨタではテレビ広告に頼らず自社ユーチューブチャネルを広報の中心にしようとしています。テレビ広告を出す会社は広報部があるところが多いので、広報部員がユーチューブチャネルやインターネット広告を企画制作する体制に持っていく必要があります。そうすればテレビ広告費は今の半分まで減らせます。1円単位で稼いで10億円単位で電通に持っていかれては社員が浮かばれません。