東大も付属中高からの一貫教育が必要となっている
大学の入学式はほぼ終了したようですが、最近の大学合格者は推薦やAO入試が増えているようで、これらの合格者と一般入試の合格者では入学の感慨が相当違うのではないでしょうか。私は一般入試組なので(当時の国立大には推薦やAO入試はなかった)推薦やAO入試で合格した人たちの気分は分かりませんが、入試の緊張感と合格したときの高揚感を味わっていない分、高校生活との区切りが十分できていないように気がします。それは悪いことではなく、推薦やAO入試で合格した人たちは、高校時代に顕著な学業実績(科学発表会で入賞、難関資格試験に合格など)を持ち、それが評価されて入学を許されており、大学ではそれの研究や勉強を続けることになるため、高校生活と連続しています。一方一般入試組はそのようなものがなく、進学学部で0から勉強や研究を始めるため、出発時点で推薦やAO入試組と差が出来ていると思われます。どちらが大学で成果が出せるかというと、当然高校時代の研究や勉強を継続することになる推薦やAO入試で合格した人たちが出せることになります。私が入社した会社には慶大卒が多く彼らは中学や高校から無試験で慶大に進学していました。そのため中にはとても大卒の学力とは思えない人もいました(ただし立ち居振る舞いは洗練されている)。そのため私は慶大のような付属中学または高校から無試験で大学に進学できる制度はおかしいと思って来ました。しかし昨年慶大法学部1年生が18歳で司法試験に合格したニュースを見て考えが変わりました。彼は慶大の付属中学1年のときに授業で裁判の見学があり、それで法曹に興味を持ち頻繁に裁判の傍聴に行くなど法律の勉強を始めたそうです。中学から法律の勉強を始めれば難解な法律用語も日常用語と同じ様に馴染んできます。慶大付属中に入れば高校も大学も無試験で進学できますから、入試のための勉強をする必要がなくその分法律の勉強に打ち込めます。その結果高校時代に司法試験合格レベルに達することが可能となります。このようになりたい職業が決まっていれば、入試が無くなりたい職業のための勉強に打ち込める大学付属中高は大変有益と言うことになります。このため慶大は大学在学中に公認会計士試験や司法試験に合格する人がとても多くなっています(2022年の司法試験では予備試験経由で50人が合格。東大の99人に次いで2位)。
これから分かることは、なりたい職業に就くためには中高時代にそのために必要な勉強をスタートした方が良いということであり、これには大学付属中高に進むのが良いと言うことです。従って今後は早慶の付属学校は人気化するとともに将来なりたい職業を決めた優秀な子供が集まると考えられます。いずれ司法試験の予備試験合格者で慶大生の合格者が東大生の合格者を上回るときがくるかも知れません。そうなると勉強する能力では断トツな東大生が資格試験では慶大生に適わないという現象が起きます。東大も中高の付属校を設置し、優秀な子供を中学から一貫教育する体制が必要になっているように思われます。これは優秀な研究者を養成する観点からも有益です。