維新と自公の関ヶ原は近い
4月9日に投開票があった統一地方選挙前半のトピックスは、関西での維新の膨張です。
本拠である大阪では、大阪府知事と大阪市長を取ったのはもちろん、大阪府議会および大阪市議会で過半数を獲得しました。大阪府議会では選挙前の46議席から55議席(定員79)に伸ばし、大阪市議会では選挙前の40議席から46議席(定員81)に伸ばしています。維新が増えた分減ったのは自民党で、府議会では16議席から7議席、市議会では14議席から11議席となっています。かっては大阪も多くの都道府県と同じ様に自民党が過半数を占めていましたから、自民党が維新に移行している状態です。更に自民党は大阪府議会、大阪市議会とも公明党(各14議席と18議席)に次ぐ第3党となっています。大阪市議会選挙を見ると、定数2の6選挙区では公明党が候補者を立てず、その結果自民党候補が当選しており、自民党の今の議席も公明党の支援がなければ半減してもおかしくない状態です。これを見ると自公の選挙協力は、公明党よりも自民党にとって生命維持装置となっていることが分かります。(尚公明党は2019年の大阪市議会選挙の得票数と比べると約5.3%減。関東の地方議会選挙では10%以上減ったところがあるので減り方は少ないと言える。自然減か?)
次に兵庫県を見ると、維新は選挙前の4議席から21議席へ17議席増えています。それでも第1党は自民党ですが、自民党は選挙前の31議席から24議席へ7議席減らしています。自民党には無投票当選者が数名いますので、維新と自民党の議席差はまだ10議席程度あるようです。神戸市議会選挙では維新が11議席から15議席、自民党が20議席から17議席となっています。兵庫県も自民党候補への票が維新の候補に移行していることが伺えます。
公明党は兵庫県議会で1議席増の13議席、神戸市議会で現状維持の12議席を獲得しており、兵庫は大阪と並び公明党の牙城であることが分かります。
今回県知事を維新が取った奈良県議会を見ると、維新は3議席から14議席へ増やし、自民党は21議席から17議席へと減らしています。大体県知事選挙の自民系候補2名の得票数と当選した維新の候補の得票数の割合に近い議席数となっています。公明党は現状維持の3議席で、奈良ではあまり強くないことが分かります。
京都府議会を見ると、維新は3議席から9議席へと増やし、自民党は29議席から28議席と1議席減ったのみであり、大阪・兵庫・奈良とは異なる様子を見せています。共産党が12議席から9議席に減らしており、共産党票が維新に流れたことが伺えます。公明党は現状維持の5議席であり、奈良と同様京都でもあまり強くないことが伺えます。ということは公明党の支持母体である創価学会は大阪や兵庫の庶民(新規流入の勤労者)の間で信者を増やして行ったものと思われます。
こう見てくると維新は、大阪は盤石な状態であり、兵庫県議会と奈良県議会では次回の統一地方選挙で第1党になることが予想されます。自民党は維新に食われて議席を減らし、兵庫では神戸市議会で公明党に抜かれ第3党になることが予想されます。こうなると関西での自公関係は公明主、自民従の関係となり、これが創価学会嫌いの自民党支持者の更なる維新移行に繋がりそうです。自民党消滅も考えられます。
この現象は関西だけには留まらないと思われます。今回の統一地方選挙では横浜市や福岡市などの政令市を中心に維新が当選者を増やしており、今後は大都市を中心にこの傾向が加速すると思われます。これまで有権者は自民党政治に満足していたわけではなく、代わりの政党が無かったら自民党に投票してきただけのように思われます。維新は当初大阪ローカルな政党と思われていましたが、大阪府市統合の府民投票を実施したり、大阪府議会の定数を88から79に減らしたり、有権者がなかなかやるなと思える政策を実行しています。党の顔も強面の松井大阪市長からイケメンの吉村大阪府知事に代わり、全国的にも違和感がなくなってきています。物価が上昇する中で自民党政権が続けば増税や社会保険料の引き上げで生活が苦しくなるのは間違いなく、有権者としては維新に期待したくなっています。維新は関西を中心として新しもの好きの西日本から勢力を拡大し、自民党は保守的な東日本を押さえる形となり、次次回の総選挙が維新と自公の関ヶ原となりそうです。