公明党練馬区議選は得票数13.1%減少

4月の統一地方選挙の表の話題は維新の躍進ですが、裏の話題は公明党が12人の落選者を出したことです。その他の政党からすると12人の落選者なんて驚くことではないですが、公明党の場合支持団体である創価学会の会員に投票する候補者を割振り、最低投票ラインを相当上回る得票となるように候補者を擁立しますから、これまではほぼ全員当選してきました。これまでの経験からすると12人も落選することは考えられないことです。その原因として報道では票の割振りを間違ったためとか、投票率が上がったためとか言われいますが、本当にそうでしょうか?

今回11人の候補者を擁立し、4人が落選した練馬区議選における候補者の得票数を前回2019年と比較してみると、本当の原因が見えてきます。

2019年も今回同様11人を擁立し、11人全員当選しています。11人の総得票数は40,195票です。この内最下位(44位。定員50人)の当選者の得票数が3,177票となっていますので、最低得票数を3,200票として調整したことが伺えます。最下位50位当選の得票数が2,799票ですので、余裕で当選できる得票数です。

これに対して今年の11人の総得票数は34,913票と前回より5,282票、13.1%減少しています。昨年の最低得票数3,177票を超えた候補者は1人しかいません。2,800~2,900票台に8人います。最下位50位当選の得票数が2,947票と前回から147票上がったことから落選者が4人出ていますが、前回なら全員当選できた得票数ではあります。従って投票者数が増えた(2019年243,311人、2023年255,828人 +12,517人)ことも原因であることは間違いありません。しかし真の原因は総得票数が13.1%も減少したことにあります。昨年公明党は関東で行われた3つの地方議会選挙で10%以上得票数を減らしていました。4月に行われた春日部市議会選挙で約18%減、12月行われた茨城県議会選挙で約13%減、西東京市議会選挙で約12%減です。練馬区議会選挙の結果はこの傾向に沿ったものとなっています。昨年は旧統一教会問題が国会やマスコミを賑わせており、旧統一教会と似た実体を持つ創価学会で会員離れが起きている可能性があります。

一方創価学会の牙城である大阪・兵庫では関東程の創価学会離れは起きていないようです。大阪・兵庫では4月の統一地方選挙で公明党は、大阪市議会で1議席減らしましたが、その他は減らしておらず、兵庫県議会では1議席増加させています。大阪市議会選挙での得票数は前回と比べ5.3%減少していますが、関東4選挙の半分以下であり、自然減の影響とみることもできます。関東と関西での得票数減少幅の差は、個人主義が強い関東と濃密な人間関係の関西の差であるように思えます。この分析が当たっているとすれば、今後関東、とりわけ東京で創価学会離れが進み、公明党は選挙の度に10%以上得票数を減らして行くと予想されます。自民党は公明党と連立を続ければ支持者、とりわけ宗教関係者の維新への移行が進み、かつ創価学会員からの得票は減り続けるという2重苦となり、今後自公連立のメリットがデメリットに転じそうです。