大阪府は中学校授業料まで無償化しないと点睛を欠く
大阪府が大阪府民の高校生と大阪府立大学生の授業料を所得制限なしで来年から段階的に無償化することを決めたと言う報道です。現在東京都が910万円、大阪府が590万円(大阪の方が低い!)の所得制限をつけて高校までの授業料を無償化していますが、大阪府はこれを大阪府立大学まで拡大し、所得制限も撤廃するということです。これはかなり思い切った政策であり、大阪府が東京都より先に決めたことはサプライズと言えます。今年4月の統一地方選挙では大阪府市で地元政党大阪維新の会(維新)が知事および市長を取り、両議会とも過半数を獲得しましたが、この勝利は維新に風が吹いたのではなく、維新の政治が大阪府民に支持されているからのようです。昨年3月には大阪府議会の定数を88から79にする議案を成立させており、大阪府議会の定数はこの10年間で109から79に30も減少しています。維新が標榜している「身を切る改革」の看板に偽りなしと言えます。
高校授業料無償化は私立高校を含み(39万6,000円まで)、かつ府外の私立高校も含むようですから、例えば大阪府内から兵庫県の灘高校に通う場合でも適用されることになります。一見これは凄いように思えますが、実は片手落ちです。灘高校は定員220名で、このうち高校からの募集は40人に過ぎません。従って中学も無償化しないと低所得家庭の多くの子供は行けないことになります。現在東大や京大、早大、慶大などの難関大学、および医学部合格者の大多数は私立中高一貫校出身者となっており、授業料無償化が教育の機会均等が狙いなら、その入り口である私立中学校の授業料を無償化する必要があります。中学授業料の無償化は現在私立中高一貫校が少ない地方の県でこそやるべき施策です。これをやれば地方の各県にも私立中高一貫校が増えますし、その結果子供の才能に応じた教育が出来るようになります。子供の能力選別は小学校から中学校に上がるときにしたものが一番間違いがないと言われており、それは東京や大阪などの中高一貫校の活躍(灘高校の進学実績や大阪桐蔭高校の野球など)が証明しています。能力や意欲が異なる子供を一緒にして教育する公立学校制度では良い教育ができないことは明白であり、今後は子供の才能に応じた教育が出来る私立中高校を増やす必要がありますが、そのためには中学校授業料無償化が不可欠です。それはさておき維新はなかなかやる政党だと思います。