日経は電子版のみの150万部に縮小する

新聞の販売部数減少がと止まりません。昨年も前年から約218万部(6.6%)減少し、約3,084万部となりました。2000年が約5,370万部ですから、これとの比較では約42%の減少となります。これから行くと計算上あと15年で0となってしまいます。この原因は新聞が紙を媒体とし、それも1日1回または2回の宅配を基本としているからです。これでは即時性を誇るインターネットの情報に太刀打ちできません。そのため新聞が紙の媒体に拘る限り、消滅は確実だと思われます。そこで新聞各社はインターネットによる配信である電子版を強化しています。しかし電子版への移行には各社とも苦戦しているようです。その中で比較的上手く行っていると言われるのが日本経済新聞(日経)です。日経のデータを見ると2023年1月現在朝刊の販売部数が約165万部、電子版の有料契約者数が約82万人(部)、合計約247万部となっています。日経の最大販売部数は2002年の約307万部であり、247万部は約20%の減少率となります。新聞全体の減少率約42%からすると半分であり、日経は読売新聞と並び生き残る全国紙と言われています。

しかしよく考えると日経の将来も明るくないと言えます。この2022年1月からの2023年1月までの1年間に日経の朝刊の販売部数は約16万部(8.8%)減少しており、減少幅が新聞全体より大きくなっています。これに対して電子版は約2万人しか増加しておらず、朝刊から電子版への移行が止まっていることが伺えます。この傾向が続くとすると、朝刊は10年でほぼ0となり、電子版が約20万人増え約100万人になることになります。

この1年間の減少はコロナによる特別な減少と見る人もいるかも知れませんが、そうではないと考えるべきです。というのは日経の記事自体と電子版には大きな欠陥があるからです。先ず記事ですが、殆どが企業の広報記事、言うなればやらせ記事であることに最近日経の読者が気付いて来ています。そのため日経にあまりに価値を感じなくなり、月4,900円の料金を高過ぎると感じるようになっています。インターネットや携帯電話など新聞と競合する費用が膨らんでいることも一因です。日経電子版は朝刊のみ4,277円、朝夕刊セット5,900円となっていますが、これはスマホやインターネット料金と比べると、高いと言う感じになります。日経としては情報の質と量を考えれば高くないと言いたいでしょうが、これは紙の新聞とほぼ同じ料金設定であり、電子版には印刷代や宅配代などが掛からずコストが大幅に安いことを考えれば高過ぎると言えます。また電子版は紙の新聞と読み方が違うことに留意する必要があります。紙の新聞は時間があるときに隅々まで読みますが、電子版は端末を通して読む関係上そんな読み方はしません。さらっと目を通す感じです。現在の電子版は紙の新聞記事を移植しており、電子版の使われ方に合っていないように思われます。今後新聞を電子版に移行するとすれば、電子版に適した記事のスタイルとボリュームとし、料金は月2,000円以下にする必要があります。その場合でも日経の電子版契約者は150万人程度に留まり、売上は150万人×2,000円/月×12カ月=360億円/年程度、利益は100億円以上が予想されます。このように日経は電子版で生き残りは可能ですが、売上は大きく縮小すると考えられます。