基本情報技術者試験(FE)に合格した
5月30日、経産省所管のIPA(情報処理推進機構)が実施する基本情報技術者試験(FE)を受験し合格しました。人生で初めて技術者と名の付く試験に合格しました。FEは「情報処理の促進に関する法律」に基づき経産省により認定される国家試験で、ITエンジニアの登竜門とも言われる試験です。大学情報系学部で取得を推奨され、この資格があるとIT企業に就職しやすいようです。またこの資格がない人が会社に就職しIT部門に配属された場合、会社から取得するよう推奨されることが多いようです。会社員の場合、試験内容が業務と関係ない広範な範囲に及ぶこと、多忙で勉強する時間が取れないことなどで合格するのに数年かかる人や合格できない人が出て来るようです。3年以内に合格できないようだとIT部門失格の烙印を押されることになると思われます。一方商業高校の情報科や専門学校在学中に合格する人もいますから、高度な試験でもありません。
私がこの試験の受験を思い立ったのは、このブログを立ち上げるためにプログラムの勉強を始めたのですが、コンピュータの全体的仕組みが分からず暗闇の中にいるような感じで、技術的理解が欠かせないと感じたからです。そこで本屋を覗いたらITパスポート試験とFEの書籍が目につきました。内容を見てみるとITパスポート試験はIT知識を問う試験で、FEは数学的素養が必要となる技術者指向の試験のように感じられました。そこでFEに狙いを定めました。ネットで推薦されていた教科書を買って勉強を始めると全体で15くらいの分野のうち最初の情報処理数学(50ページ程度)で1カ月かかってしまいました。このペースだと教科書1冊を終えるのに1年かかってしまいます。これはまずいと思い合格体験記を読むと合格者の殆どが教科書を理解するよりも試験の過去問(題)を解いていることが分かりました。そこで私も教科書はさらっと1回読んで(1カ月で終了)過去問を解いて間違った箇所を中心に学習する方法をとることにしました。最初は午前問題80問のうち正解は30問程度でしたが、3年6回分やったあたりから合格ラインの48問(6割)を超えるようになりました(始めてから4カ月程度経過)。そこで午後試験の準備に移りましたが、これが予想以上に難問だったのです。午前試験はA4半分くらいに問題と選択肢4つが書いてあり、割とテンポよく解けます。一方午後試験は分野別の13の問題から5問選択して解くのですが、いずれの問題文もA4で4,5ページに渡る長文であり、高度な国語読解力が必要です。中でも必須問題で最難関と言われるアルゴリズムの問題はA4で7,8ぺージの長文で、かつ数学者が考え出した著名(らしい)なアルゴリズムからの出題が多く、私が過去に受けた試験問題で最難関とも思える内容でした。FEは、午前の試験は受験者の半分以上が合格すると思われますが、午後の試験で合格率20~30%に落ちるようになっていました。この午後問題の過去問をやって見た結果、受験しても合格は五分五分と思われました。更に試験方法がコロナの流行のため大会場での紙の試験から小会場でのコンピュータを使った試験(CBT)に変更となりました。これまで私は試験では紙の問題文の重要なところに線を引き、余白に計算式を書いて問題を解いていたのでCBTによる試験には自信がなく、秋の受験は断念しました。翌年にはまた紙の試験に戻ると考えて春の試験を受ける予定でいたのですが、春もCBT試験のみだったため、これもパスしました。しかしその後FEはCBT試験を続け、紙の試験に戻ることはないことが分かりました。何とか午後試験の負担を減らせないかと考えていたところ、午前試験免除制度があることを知り、その条件となっていた通信教育(Web受講)を受けることにしました(午前試験免除制度はIPAが認定したカリキュラムを実施している高校や専門学校でも認められている)。通学だと費用は10万円を超えるところ通信教育だと3万円台で済みます。ここで終了テストに合格し、実際にIPAが実施する本番に類する試験(これは紙の試験)を受けて合格し、午前試験免除の資格を獲得しました。このメリットは、午前試験(2時間半)を受けなくて済むことにより午後試験(2時間半)に集中できることです。そしてその年の秋に午後試験を受けたのですが、脳がコンピュータ画面の問題をネットサーフィンと勘違いし、考える状態にならなかった(思考力が落ちた)ことから、惨敗でした。その後に受けたのが今回の試験でした。今回ラッキーだったのは午後試験の問題がCBT試験に合うように改定されたことでした。これまで長文の5問選択問題がA4で1ページ程度に書かれたアルゴリズムの問題16問、セキュリティの問題4問の合計20問となり、時間も2時間半から100分に短縮されていました。また問題内容も紙試験のときの実用力をみるものから基礎的理解力をみるものになっていたように思われます。これまで出題形式の変更があった年の合格率は高くなる傾向があり(その後20~30%の合格率になるように問題を調整する)、このため私も合格できたと思われます。落ちたらFEの受験は今回が最後にしようと考えていたので一安心です。令和3年の合格者のデータを見ると合格者の平均年齢25.2才、最年少年齢12歳、最高年齢74才になっていますので、受験者は会社員が多いようです。ボケ防止にはちょっと負担が大きい試験ですが、コンピュータに興味がある人にはお勧めの試験です。
(尚CBT試験のため、終了のボタンをクリックすると画面に得点が表示され合否が分かります。また1カ月程度の期間を空ければ再受験できますので、年間10回ぐらい受けられるようです。)