新聞社の傘下にある限り巨人と中日の再生はない

今年のプロ野球はちょっと予想外の展開となっています。先ずセリーグで優勝候補本命だったヤクルトが18勝30敗(6月2日現在。以下同じ)で最下位に沈んでいます。これは昨年56本のホームランを打った村上選手の不振がチーム全体に波及したためと思われます。阪神、DeNAが首位を争っているのと、巨人と中日が下位にいるのは予想通りと言えます。次にパリーグですが、ロッテが首位に立っているのはサプライズです。オリックス、ソフトバンクが1,2ゲーム差で追っており、こちらは実力通りと言えます。

ここで私が注目するのは、巨人と中日です。巨人は25勝26敗と負けが込んでいるわけではないのですが、打線は日替わりで投手もとっかえひっかえであり、チームに安定感がなく強くなる感じがありません。まるで原監督の思い付きショーを見ているようです。一方中日は昨年中日の名選手だった立浪氏が監督になってからすっかり弱くなってしまいました。気に食わない選手は放出し、代わりに獲得した選手は活躍していません。突出した選手が1人もいないどんぐりの背比べチームになっています。

私の若い時代は巨人1強の時代であり、テレビは巨人戦だけでした。そこ頃のライバルの1つが中日であり、当時のセリーグは報道力の関係もあり新聞社が強い影響力を持っていました。現在はソフトバンクとオリックスが球界の中心であり隔世の感があります。こうなったのは、新聞販売部数の減少と無縁ではないように思われます。2000年に5,370万部だった販売部数は2022年には3,084万部へと約43%減少しており、巨人・中日の弱体化と軌を一にしています。親会社である読売新聞と中日新聞の利益が低下したから選手の補強費が減少したということはないと思いますが、球団経営どころではなくなっているのは事実だと思われます。

新聞社はこれまでテレビ局を傘下に持ち、政府や官庁の情報を独占する情報利権を基に大した経営力はなくても巨大な利益を上げてきました。これがインターネットや衛星放送の発達により情報の独占が崩れ、宅配新聞というビジネスモデルが崩壊の危機に瀕しています。各社とも新聞のデジタル化を進めていますが、成功体験が邪魔をしてデジタル時代に合ったニュースメディアに変貌できずにいます。今のペースで新聞販売部数の減少が続けば計算上あと20年で0になるなど新聞社は絶滅危惧種化しています。こんな状況で関連企業であるプロ野球チームの運営に尽力できるはずがなく、巨人と中日は読売新聞と中日新聞の傘下である限り今の状況を脱し切れないと思われます。そもそも文屋さんが企業を経営するのが無理な話のように思われます。