大阪は日本最大の田舎町
7月13日の日経電子版に「世界最大の田舎横浜」と表現がありあました。これに続くのが「業種超えてイノベーションに挑む」ですから、一般的な「田舎」の意味ではありません。
記事は
「JR横浜駅からみなとみらい駅まで続く遊歩道。10年ほど前まで散見された空虚な空き地の面影はなく、次々と建設される最先端の商業施設やオフィスビルが街の熱気を伝える。横浜モデルのオープンイノベーションに向け産学官民が交ざり合った挑戦が始まっている。」となっていますから、「田舎」と反対の近代的な街になっていることが伺えます。詳しい内容は有料記事だったため読んでいませんが、横浜は、20年位前までは中心街と言えるエリアがなく、何となく間延びした街でした。東京から横浜に来るとこの間延びした感じが住む人をホッとさせたものでした。それでもこの間延びした感じは「田舎」という表現とは違うと思います。横浜を「田舎」と言えばさいたま市(大宮市と言った方がピンとくる)や千葉市は「ド田舎」になってしまいます。たぶん3つの町は機能的にはそんなに変わらないし、共に県庁所在地としての風格を備えています。横浜が「田舎」なら東京以外の大都市も全て「田舎」ということになります。この記事では多分以前との変化の大きさを言いたかったのだと思いますが、横浜が変化しているのは以前工場があった臨海部だけあり、その他の地区は変わっていないと思われます。いずれにしても横浜に「田舎」という形容詞はふさわしくありません。
日本の大都市の中で一番の「田舎」は大阪だと思います。何故かと言うと大阪は秀吉が大阪城を築いた1593年頃以降ずっと商都大阪の文化を維持し続けているからです。400年以上です。ここで言う「田舎」とは昔から変わらないと言う意味です。
高度成長期大阪には四国や中国、九州、北陸などから若者が集団就職でやってきましたから、人数の上では大阪で生まれ育った人より他所から来た人の方が多いと思われます。この状況なら東京のように地元の人はマイナーになって行くのが普通です。この結果東京では江戸弁はすっかりなくなってしまいました。しかし大阪は大阪弁(関西弁)がしっかり残っています。よそ者を大阪弁にする強力な向心力(遠心力の反対)が働いています。言葉がこうですから文化も当然維持されています。古くからの商都の影響で住民の間では何でも金次第のところがあり、公務員でも贈答を受取りますし、接待を受けます。まるで法律は東京の決まりであり、大阪は関係ないと言う雰囲気です。だから商売は大変厳しいものとなります。徹底的に尽くさないと買ってもらえないし、取引を続けることは出来ません。大阪の会社員が東京に転勤になるとたいてい「東京の方が商売はやりやすい」と言います。理由は「しつこくないから」です。このしつこさは大阪の特徴であり田舎の特徴でもあります。
日本の多くの町が人口流入によって、または逆に人口減少によって昔の文化を無くす中で、大阪は400年前の文化を維持して来ており、大阪こそ日本最大の田舎(400年続く田舎)だと思われます。