NHK割増金は間違いなく公序良俗違反で無効
NHKは4月に受信料を払わない人に受信料の2倍の割増金を請求する規則を制定したようですが、これは裁判となれば公序良俗違反で無効とされる可能性が高いと思われます。
公序良俗は
「公共の秩序を守るための常識的な観念」
「国家社会の安定的な維持と、善良かつ健全な国民生活の営みを意味する言葉」
「人道やモラルや社会的な道徳観念 や慣習を表す言葉」
のことであり、これに反する法律行為は民法90条で無効とされています。
民法90条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
この条文は、民法で無効と規定されていない法律行為であっても、民法第90条により公序良俗に違反することを理由として、無効とされる場合があることを意味しています。民法を始めとした法律は、社会的害悪が著しいケースを対象としてルール化しており、その間隙をついて新しい害悪(悪巧み)が発生します。民法90条は、この場合に法律の規定が無くても害悪を取り除けるように設けられた規定(考え方)と言えます。
NHK割増金も放送法や民法が想定していないもので、まさかの産物と言えます。現在金銭消費貸借契約に基づく借入金(サラ金など)の返済や購入代金の支払いが遅れた場合には遅延損害金の制度がありますが、サラ金などの遅延損害金の上限利率は借入金額により制限されていますが、最高は借入金額10万円未満の場合で29.2%です(利息制限法7条)。一方事業者と消費者の間で締結された金銭消費貸借以外の契約における遅延損害金の利率は、その上限が14.6%に制限されています(消費者契約法9条2号)。このためクレジットカードのショッピング利用などでは遅延損害金の利率を年14.6%と定めているケースが多いようです。いずれも規定を超える部分は無効となります(消費者契約法9条2号)。また税金の滞納の場合の遅延損害金も上限は14.6%になっています。
NHKの割増金は受信契約に基づく受信料不払いの遅延損害金と考えられますから、消費者契約法9条2号により最高不払い受信料の14.6%となるはずです。受信料の2倍の遅延損害金など認められるはずがありません。遅延損害金の他に支払履行強制の意味合いがあるとしても、それは全ての取引に共通であり、受信料の2倍の割増金が認められる理由にはなりません。
NHKの受信料の2倍の割増金は明らかに公序良俗違反と言えます。もしこれが認められれば、世の中の多くの企業でこれが取り入れられます。例えば消費者金融でも遅延損害金という名称を使わずに割増金という名称で貸付金の2倍請求するようになります。クレジットカードの遅延損害金も同様です。税金の滞納も割増金に変わるところが出てきます。一番影響が大きいのは住宅購入資金の返済遅延による遅延損害金が2倍の割増金になることです。このようにこれまで使われていた遅延損害金と言う言葉が割増金に変わってしまうことになります。こうなると社会生活が破綻してしまいます。NHKの割増金制度はこのように日本社会を破壊するインパクトを持っており、公序良俗違反であることは明らかです。多分まだ割増金を請求された事例がないことから問題になっていないと思われますが、もし請求されて裁判になれば公序良俗違反で無効となると思われます。公共放送を称するNHKの制度が裁判所から公序良俗違反と判断される恥ずべき事態が生じることになります。そうなればNHK自体が公序良俗に反する団体として解体されることになります。