TSMCは熊本に中華学校を設立する

熊本県菊陽町に半導体工場を建設中のTSMC社員と家族約600人が8月から9月にかけて順次、台湾から熊本に移り住むとの報道です。工場棟と同じ敷地内に建設中のオフィス棟が8月初旬に完成するのに合わせ、8月に約350人、9月に約250人が来熊するとのことです。内訳は社員が約350人で家族が約250人となっていますから、社員が8月にやって来て、9月にその家族が来るような感じだと思われます。これらの人たちは熊本市、菊陽町、合志市、大津町に分かれて住むと言いますから、とりあえず民間マンションやアパートを確保したものと思われます。

ここで気になるのが子供の学校の問題です。社員約350人、家族約250人の割合を考えると2人世帯または単身世帯が多いように思われます。今回来る社員の主な業務は設備の据え付け・調整であり、ベテランが主力なのではないでしょうか。2024年末に予定される生産が始まれば中堅・若手と交代し、学校に行く子供が増えて来ると予想されます。

そこでどのような学校に行くかですが、熊本の公立学校はまずないと思われます。その理由は、

1.3~5年で台湾に帰ることから、日本語の教育を受けても仕方ないこと、

2.熊本の公立学校のレベルが低く(学力テストで全国下位。たぶん30位台)、子供のためにならないこと、

です。インターナショナルスクールに行くのではとの声もありますが、TSMCと言えども社員の給料ではやれる家庭は限られる思われます(インターナショナルスクールの年間納入費用は150~200万円)。熊本大学付属小中学校で英語クラスを作りそこで受入れるとの声もあるようですが、授業は日本の学習指導要綱に基づくとのことですから、台湾に帰る子供にとってはメリットがありません。

そこで想定されることは、TSMCが熊本に中華学校(台湾の学習指導要綱に基づいた小中学校)作ることです。TSMCは今建設中の工場の近くに第2工場の建設を計画しているようですので、これが完成すれば台湾からやってくる社員と家族は1,000人を超えると考えられます。同時にTSMCに部材やサービスを提供する台湾企業も進出し、その社員と家族も1,000人規模に上ってくると考えられます。こうなると小規模な中華学校が必要になります。たぶん今後TSMCは社員と家族がまとまって住めるよう社員住宅団地の建設に取り掛かると思われます。最近TSMCの社員・家族向けに民間の住宅(楠団地)が完成したようですが、写真で見ると窓の外は駐車場になっており、緑が無く兵舎のような感じがしました。これでは1日中家にいる家族は堪らないと思われます。菊陽町と言う田舎に立地しているのだから、広々とした敷地にしゃれた社宅くらい準備しないと社員の不満が溜まってしまいます。そのこともありTSMCの社員住宅団地は割と早くできると思われますし、ここの敷地内に中華学校を作ることが考えられます。日本人でも中国や東南アジアに赴任する場合、現地の学校に行く子供が殆どおらず日本人学校に行っているようですから、当然の帰結です。従って熊本県としてはTSMC社員が公立学校に入学するとの想定は不要のように思われます。熊本県としては新しく作られる中華学校に日本人も入学できるように働きかければ、将来TSMCに入社することが容易になり、熊本と台湾の関係強化にも役立つと考えられます。レベルの低い熊本の公立学校は、競争が激しい台湾の子供の選択肢には入りません。