GPIFの運用益拡大は安倍元首相の功績

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は4日、4〜6月期の運用成績が18兆9,834億円の黒字だったと発表しました。四半期の黒字額としては2020年4〜6月期の12兆4,868 億円を上回り過去最高となったということです。資産別の損益額では国内株式で7兆886億円、外国株式で7兆8,196億円、国内債券で1,761億円、外国債券で3兆8,990億円の黒字だったということですが、株式の黒字が78.5%を占めています。

これは安倍元首相の功績と言ってよいと思われます。と言うのは安倍政権時代にGPIFは運用資産の構成比変更を行い、国内株および外国株をそれぞれ12%から25%へと拡大したからです。これは安倍首相が主導しなければ実現していませんでした。それまでGPIFは株式の価格変動リスクを嫌い、株式の割合を低く抑えてきました。それを外国の年金運用機関とほぼ同じくしたわけですが、危惧する声が多かったのも事実です。これが実現したのは、安倍政権でアベノミックスと言われる大規模金融緩和政策が実施されたからです。これが続けられれば世の中に流通する資金量が増加し、株価が上昇するのは確実でした。また1990年代の経済低迷を招いた反省から今後資金量を大きく絞り込むことは考えられず、株価上昇は長く続くことが予想されました。従ってGPIFで株式の割合を増やすことは当然でしたが、一挙に倍増することは安倍首相の存在なしには難しかったと思われます。これは安倍首相が賢かったからではなく、逆に余り賢くなかったから実現したものです。賢い人なら株式市場の様子を見ながら少しずつ割合を増やして行ったでしょう。その結果買い場を失い株式の割合は今ほど増えていなかったと思われます。

日銀でも安倍首相が任命した黒田総裁がETFを買い続け残高が約37兆円までなりました。これが最近の株価急騰で時価総額約60兆円になっています。ETFの買入は海外の中央銀行はどこもしておらず金融政策としては邪道と言われいますが、金融緩和政策を続ける意思が固い黒田総裁にとっては絶対間違い運用だったのかも知れません(利益相反取引かも知れませんが)。

黒田総裁が昨年12月長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げ銀行株が上昇したとき、この報道に対するヤフコメを見ていたら、ある人がこんな書き込みをしていました。

「家を買うに際して預金が相当あったが、銀行からほぼ全額借りて買い、預金では銀行株を買った。銀行株の配当が3~4%(借入金利は1%程度)だったし、将来借入金利が上がれば銀行株も上がると考えてのものだったがその通りになっている」

これを読み「賢いな」と思いました。資産を増やすには株式投資が欠かせないと思われますが、株式投資に当たってはこの方のような戦略的思考が必要です。