熊本の子供の学力テストの成績が悪いわけ
2023年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)を見ると、熊本の公立小中学生の平均正答率は小学6年生の国語・算数、中学3年生の国語・数学・英語の全教科で全国平均並みか下回っています。
熊本県内の小学6年生の平均正答率は、国語67%(全国平均67.2%)、算数61%(62.5%)で、中学3年生では国語69%(69.8%)、数学48%(51.0%)、英語42%(45.6%)となっています(各県の値は整数表示となっているので、整数部が同じなら比較不能)。
これを見ると中学3年生の数学と英語で3%近く全国平均を下回っており、数学と英語が重視される大学進学に大きな影響を与えると思われます。
地域別に見ると北陸3県の良さが目立ちます。例えば石川県は、小6国語72%、算数67%、中3国語73%、数学56%、英語49%と軒並み全国平均を大きく上回っており、福井県、富山県も高くなっています。一方九州は福岡県が全国平均並みで他の県はいずれも全国平均を下回っています。
この傾向は1人当たり県民所得(2018年度)とほぼ同じです。北陸の1人当たり県民所得は、富山5位、福井9位、石川19位ですが、九州は福岡30位、佐賀33位、大分35位、熊本37位、長崎42位、鹿児島44位、宮崎46位となっています。
多分熊本の学力テストの正式な順位は1人当たり県民所得と同じく全国37位くらいだと思われます。このように学力テストの結果は、家庭の所得が最も大きく影響していると考えられます。従って熊本の子供の学力を上げるためには、家庭の所得を上げることが最も重要と言ってよいと思われます。
次に県知事の姿勢だと思われます。現在の蒲島知事は、知事になる前は東京大学法学部教授(ハーバード大学ケネディスクール卒)ですから教育に力を入れそうに思われますが、実際はそうではありません。たぶん学力を向上させるノウハウやアイデアが無いのだと思われます。蒲島知事は、高校は山鹿農業高校卒であり学校では220名中200番目くらいの劣等生だったと自分で言っていますから当然です。蒲島知事の場合、地元農協に就職したあと農業研修で米国に行き、ネブラスカ大学農学部入学、その後ハーバード大学ケネディスクール入学と言う特異な経歴を持っています。これは普通の子供には参考にならないし、蒲島知事も教育に対する確たるビジョンは持っていないと思われます。そのため教育政策は教育委員会任せです。しかし教育員長には知事部局部長を上がりポストとして任命しており、教育政策が進化(深化)するはずがありません。それでは学力を軽視しているかというとそんなことはありません。2012年には副知事の1人に東大でゼミの教え子だった38歳の小野泰輔氏を任命していますし、現在の木村敬副知事(49歳)も東大ゼミの教え子です。県職員から副知事になるのは知事部局の部長を経てからとなっていますから、相当の年齢差があります。これはひとえに小野氏や木村氏の学力が優秀だからという理由であり、蒲島知事も学力を重視していることが分かります。なのに熊本の子供の学力を上げるのに熱心じゃないのは不思議です。たぶん私立中高一貫校に進み目論見通り東大に合格した小野氏や木村氏を教育長にしたら、簡単に熊本の子供の学力テストの結果を引き上げると思われます。彼らには高い点数を採るノウハウがあるからです。だから教育長人事は大変重要ですが、蒲島知事は分かっていません。その結果熊本県の教育委員会のレベルが低くなっています。たぶん教育委員会に実力テストがあれば熊本県教育委員会は学力テストと同じくらいの順位です。
そして教員の質も37位くらいと言うことができます。要するに県民所得、県知事の教育に対する理解、教育委員会と教員の質が相まって学力テスト順位があります。従ってこれを全国平均まで引き上げるのは一筋縄ではいかないことになります。
今年の学力テストの結果を受けて県教育委員会の担当課は「児童生徒が主体的に学ぶ姿勢を身に付けられるよう、教育事務所や各学校と連携して取り組む」と抽象的なことを言っているようですから、来年以降下がることはあっても上がることは無いと思われます。子供の学力を向上させるには具体的教育施策が必要です。アイデアが出ないなら石川県に行って学ぶことを提案します。