チャラい損保の仕事は高給に値しない

ビッグモーター修理代保険金不正請求事件で共犯視されている損保は高給で有名です。損保の給与は日本全体でも高給で知られるメガバンク、生保と横並びとなっています。私は仕事でこの3つの企業の社員と接触がありましたが、この中で損保の仕事が一番チャラく高給に値しないと思います。この3つの業界は社会のインフラであるとして金融庁が高給をコストに算入することを認めていることが高給の原因です。商社や外資系金融機関のように個人の稼ぎに応じたものではありません。商社の場合、社員1人1人に損益計算書があると言われるように、稼ぎに応じた給与体系になっており、その中で稼ぎの良い社員の高給は当然と言えます。しかしメガバンク、生保、損保は許認可事業であり、事業内容も金融庁の監視下にあります。従ってその利益も金融庁(と日銀)によって保証されたものであり、商社のような自己責任に基づく事業活動によってもたらされたものではありません。その結果、高給と仕事の質が見合っていない社員が多数見られます。この3つの業界の中で高給と仕事の質が一番不釣り合いな業界が損保だと思われます。

損保は元々相互扶助のための事業であり、確率計算により保険の仕組みが決まります。そして決まった仕組みは殆ど変わることがありません。また新規参入も殆どありません。損保の営業は代理店制度で支えられており、損保本体で直接顧客に営業することは殆どありません(一部の大手企業のみ)。損保の営業は、代理店にたくさん自社の保険を売ってもらうために足げに通うことです。同時にビッグモーターのような有力代理店については経営者の接待も重要な仕事になります。このような損保の営業では営業マンに商社のような損益計算書は作れません。

私もある会社で損害保険と関係がある仕事(自動車ディーラーの保険コンテストの管理)をしたことがありますが、損保の営業マンが用事もないのに毎週訪ねて来て困りました。その後金融業界に転じて損保の営業以外(資金運用や管理)の社員とも接しましたが、専門性が低く競争心も無い人が殆どでした。田舎の人の好いお兄さんやおじさんレベルです。そのため商社マンやメガバンク行員と比べるとずっと付き合いやすいと言えます。

私はメーカーに入社してその後金融業界に転じベンチャー投資の仕事をしていましたので、ヒヤリングなどで多くの業界の人にお会いしましたが、仕事の質と高給がマッチしない代表が損保だと思います。仕事の質からしたら損保の給与は業界全体の真ん中程度が適切です。