日本のスポーツ選手には負けても泣かないマナーが必要

女子ワールドカップニュージーランド・オーストラリア大会は20日イギリスとスペインの決勝戦が行われ、スペインが優勝しました。これでグループリーグでスペインに4対0で勝っているなでしこジャパンが又注目されることになりそうです。今大会ではあまり期待されていなかったなでしこジャパンが予想外の強さを見せ、日本人を、というか世界を驚かせました。パスワークは上手いし、足の早い選手はいるし、ボランチはワールドクラスだし、「いつの間にこんなに強くなったの?」という感じでした。予選でスペインを4対0で破った辺りから大会でも優勝候補に挙がってきましたが、私は優勝はないと思っていました。スペイン戦は作戦が嵌っただけで出来すぎでした。ノルウェー戦の3対1が実力に近かったと思います(2点は相手側ミス。と言ってもなでしこのプレッシャーが強かったから)。従ってスウェーデンに2対1で負けたときには、「今の実力通り」だと思いました。

今のなでしこジャパンは12年前に優勝したときのメンバーより上手い選手が多いと思います。何故だろうと探っていくと当然だと言うことが分かります。今のなでしこジャパンのメンバーは池田太監督の下U-20女子ワールドカップで2018年に優勝(メンバー;長野風香、宮沢ひなた、遠藤純、植木理子など)、2022年準優勝(メンバー;藤野あおば、浜野まいか)したメンバーが大部分を占めます(長谷川唯、杉田妃和、林穂之香は2016年大会3位のメンバー。2020年はコロナで中止)。かつ2018年の決勝はスペインに3対1で勝利し、2022年の決勝は逆に1対3で負けています。

これが分かると今のなでしこジャパンが強いのは当たり前であり(スペインが強いのも)、ピークは次のワールドカップ当たりであることが分かります。

今大会のなでしこジャパンは全員楽しそうにサッカーをしていたのが印象的でした。たぶん自分らが予想していたよりも上手く行き、手ごたえを感じていたのだと思います。それが観衆にも伝わり、多くの声援を受けていました。そんな中で私が残念に思ったことがあります。それはベスト8のスウェーデン戦に負けて大泣きしていた選手が多かったことです。これは日本の選手に多く見られる現象です。一番記憶に残っているのは、リオデジャネイロオリンピックの女子レスリングで4連覇を狙った吉田沙保里選手が決勝で米国のマルーリス選手に敗れ大泣きし、マルーリス選手が困惑していた場面です。吉田選手は女子レスリング界の象徴と言える選手でしたから、あの場面では何はともあれマルーリス選手を祝福して欲しかったです。その他にも今年5月の卓球の世界選手権女子準決勝で早田ひな選手が中国の孫選手に敗れ大泣きしました。この大会では中国選手に敗れ大泣きする日本女子選手が多く、中国の報道では「日本人選手は打ちのめされて泣いた」と揶揄されました。他国の選手では負けても大泣きする人は殆ど見られませんから、日本人の特徴と言ってよいと思われます。日本人の特徴としては、試合後スタンドの観衆にお礼のお辞儀をする、ロッカーやスタンドの掃除をするなどが好評でしたが、この大泣きは不評のように思われます。まるで子供が思い通りいかず泣き叫ぶことの延長であり、肉親が死んだときの振る舞いです。試合は相手があり、お互いがベストを尽くして戦った後は、敗者は勝者を称え、勝者は敗者を労わるのがスポーツのマナーではないでしょうか。日本のスポーツ選手はこれから、試合に負けたら泣かずに勝者を称えるマナーを身に着けるべきだと思われます(泣くのはロッカーに帰ってから)。