経団連が提言すべきはGDP倍増

経団連は9月11日、2024年度税制改正に向けた提言を発表し、その中で岸田政権が進める「異次元の少子化対策」などの財源について、消費税の引き上げを政府に提言したということです。経団連が各年度の税制改正に向けた提言で、消費税引き上げを提言するのは異例ということですが、経団連の十倉会長はこれまでも記者会見などで少子化対策の財源については「消費税を排除せず、検討すべきではないか」などと主張して来ていますので、この提言は戸倉会長の意向を反映したものと思われます。

私は、これは馬鹿げた提言だと思います。経団連は少子化対策で経団連が果たす役割と行動について見解を発表すべきであり、これをせずに国民の負担が大きい消費税を上げるべきと言うのは自分勝手な主張としか思えません

日本では税と社会保険料などの公的負担が家計収入の47~8%に達していると言われています。今後も防衛費や少子化対策費の増大でこの割合が50%に達するのは確実であり、五公五民だったと言われる江戸時代並になります。こうなると平均所得(約420万円)以下の家計では夫婦2人が食べて行くのがやっとの状態となり、子供は持てなくなります。この状態は十倉会長の出身企業である住友化学でも変わらないはずです。これが分かっていれば消費税増税などという提言は出来ないと思われます。もっと経団連加盟企業が当事者となって少子化対策に貢献できることを発表すべきだと思われます。

それはGDP倍増です。経団連企業の売上を2倍にすればGDPは2倍になります。そうすれば税収も2倍になり、消費税を引き上げる必要はありません。その他の増税も必要ありません。実際2022年度は2021年度と比べGDPは2%増加ながら税収は約5兆円増加しており、この結果防衛費増税も先送りになっていますから、これを続ければよいのです。日本の公的負担がここまで膨らんだ理由は、1990年のバブル崩壊以降GDPが伸びていないためです(約540兆円で横這い)。この間他国は2%以上伸びていますのでGDPは単純計算でも60%以上増加しています。軍事費が約25兆円と日本の約5倍ある中国は、1990年以降GDPが270倍に増え2022年は約2,360兆円となっています。これからすると軍事費の25兆円は1%程度であり、これまでの日本並みです。要するに中国は国民負担を増やして軍事大国になったわけではなく、GDPが増えたから軍事大国になったのです。一方日本は増税により防衛費をGDPの2%以上にしようとしていますが、中国のようにGDPを増やして防衛費を増やす方向に持って行く必要があります。韓国も1990年以降GDPを4~5倍に増やしており、国民の負担感は日本ほど高くないはずです。このように今の日本の財政と国民負担の問題は、GDPを倍増させることでしか解決できません。その最大の牽引役でなければならない経団連が消費税の引き上げを提言するのは、自らの責任放棄と言えます。経団連が主張すべきは消費税費引上げではなくGDP倍増です。その方策としては現在の日本に輸出比率(約16%)を韓国(約42%)やドイツ(約48%)並みに引き上げることが考えられます(菅政権の経済ブレーンだったデービット・アトキンソン氏の提唱にかかる政策です)