韓国のスポーツが急に弱くなったのは豊かさのせい?
今年になって韓国のスポーツがすっかり弱くなってしまいました。現在中国杭州で開催中のアジア競技大会バレーボールでは男子がインド、パキスタンに敗れベスト12止まり、アジアでも弱小国に転落しています。一方女子は7月に行われたネイションズリーグで16戦全敗の最下位に終わり、強豪国グループから脱落しようとしています。
9月に開催されたバスケットボールの男子ワールドカップでは、韓国はコロナを理由に予選会に出場しなかったことから、出場資格がありませんでした。野球は今年のWBC東京予選で日本に大敗しするなど、かっての強さはありません。サッカー男子代表はワールドカップ後クリンスマン監督を迎え6戦して1勝とパッとしません。サッカー女子代表は、今年のワールドカップ予選リーグ1分2敗で予選敗退に終わっています。このように最近までアジアの強国だった団体スポーツが今年に入って軒並み急速に弱体化しています。これだけ急速な弱体化は世界であまり例を見ません。新チーム組成に失敗したとか言われていますが、これまでは新チームに移行してもこんなに弱いことはありませんでしたから、別に原因があるように思われます。
私が注目しているのはLPGA(全米女子ゴルフ協会)ツアーにおける韓国人女子ゴルファーの動向です。昨年までLPGAツアーにおいて韓国人女子ゴルファーは人数において米国人の次に多く、年間優勝者数に至っては米国人と並ぶくらいでした。これが今年に入って変化が見られます。人数面では減っていませんが、優勝者がぐっと少なくなりました。また各大会における上位進出者も少なくなっています。
これらは今年になって急に現れており、今年韓国で何かこの原因となる出来事があったのではないかと疑いたくなりますが、それは無いようです。
考えられるとすれば昨年韓国は多くの経済指標で日本を抜いたと言われ、韓国民も実感したことです。1990年から2020年までの30年間、平均的な日本の労働者は年間実質賃金が上がらなかったのに対して、韓国の労働者の賃金は2倍になり、現在韓国の労働者は日本の労働者よりも相当(2割程度)高い実質賃金を得ていますし、国民1人当たりGDPでも韓国が日本を上回りました。そして2027年には韓国が名目GDPでも日本を上回ると予想されています。
またスイス国際経営開発研究院(IMD)が64カ国を対象に実施した今年の国際競争力評価でも韓国28位に対し日本は35位であり、韓国が上位にあります。これだけ韓国が日本を上回る指標が出ると韓国民がそれを確信するのも当然です。
これまで韓国は日本に追いつくことを国家目標としてきており、スポーツはどんな大会でも日本にだけは負けてはいけないと教え込まれてきました。それが国家として経済で日本を打ち負かしたことが分かり、韓国全体に目標がなくなったように思われます。これが当たっているとすれば、今後韓国スポーツが復活するのは、日本に勝つことではなく個人が自分の能力を最大限に発揮することをスポーツの目標に設定したときではないでしょうか。