ホンダは本社を青山から和光に移すべき

ホンダは南青山に所有するホンダ青山ビルを、2030年度の完成を目標に新たなビルに建て替えると発表ました。建て替えの理由としてホンダは、「社会や産業が急速に変革に向かう状況の中で、将来にわたり人々や社会から存在を期待される企業であり続けることを目指すため、イノベーションを生み出す変革と発信の拠点となるグローバル本社機能を構築することが必要」と述べているようです。

最近のホンダはヒット車生まれず、日本国内はもちろん海外でもあまり話題にならない車メーカーになっています。車でホンダの名前を聞くとすればF1の話題のときくらいです。それも2022年に撤退し、2023年には2026年からの参入を発表するという節操の無さを感じさせるものです。ホンダ車を街で見かけるのは軽のN-ONEやN-BOXばかりになっています。そのためホンダの車部門は利益が出ていないとも言われています。こうなると将来ホンダは車メーカーとしては存在できなくなるのではないかという心配も出てきます。

そんな中での本社建て替えのニュースです。建て替えの最大の理由は建物の老朽化と言うことで理解できますが、場所は青山である必要はないと思われます。もうホンダと言っても先進的な企業というイメージはありませんし、そんなイメージで車を売っているわけでもありません。車の販売実績から言うと軽中心のスズキやダイハツに近いイメージになっています。だとすればスズキは浜松市で、ダイハツは大阪池田市ですから、ホンダは和光市で良いように思われます。和光市は理化学研究所の本部があるように研究者の街であり、ホンダの原点のイメージです。青山本社はホンダが没落した原因の1つ(経営幹部が青山にいることによって先進企業と勘違いした)とも考えられ、このまま青山に本社を置けば没落を続ける可能性があります。

最近メーカーの中で東京の本社を主力工場がある場所に移す例が増えています。海外企業ですが、日本ミシュランタイヤはこの8月に本社を新宿から研究開発拠点がある群馬県太田市に移転しましたし、ボッシュは2024年に本社を渋谷から横浜市都筑区の研究開発拠点に移転すると発表しています。日本企業では富士通が2024年に汐留から川崎市の研究開発拠点などに本社移転すると発表しています。メーカー全体で見れば愛知県や京都府に本社を置くメーカーが強く、東京に本社を置くメーカーの衰退が目立ちます。私も東京に本社があるメーカーにいたことがありますが、東京では華やかさや人込みにまぎれメーカーであることを忘れてしまいます。東京に本社があるメーカーは経営幹部の殆どは東京本社勤務であり、生産や開発に関する感覚が鈍るのは当然のように思われます。メーカーの利益の源泉は工場や開発にあることから、経営幹部は工場や開発拠点に常駐するのが良いように思われます。

ホンダばかりでなく三菱自動車も岡崎市や倉敷市に本社を移転した方が良いように思われますし、東芝も再生のスタートに当たり浜松町から川崎市などの工場や開発拠点に本社を移転した方が良いように思われます。東京に30年も本社を置いているメーカーは大体おかしくなっています。工場がなくなった東京はメーカーが本社を置く場所ではなくなっています。