矢田補佐官でパナソニック労組は自民党に投票する

岸田首相は9月15日、首相補佐官に元国民民主党参議院議員の矢田稚子(わかこ)氏を賃上げと雇用担当の総理補佐官に任命しました。国民民主党は最近自公の連立政権に加わるのではないか話題になった後だけに、この布石ではないか注目されています。

私は、この人事は連合傘下の労働組合が立憲民主党支持から自民党と維新支持に変わるきっかけになると予想します。矢田氏は次の総選挙か参議院選挙で自民党公認で比例区から立候補します。そうすれば矢田氏の出身母体であるパナソニック労組は矢田氏(自民党)に投票します。矢田氏は前々回の選挙で電気労連の組織内候補として当選していることから、電気労連としても矢田氏(自民党)に投票する可能性もあります。そうなると自民党は新しい組織票を獲得することになります。これは自民党にとっては魅力的な集票スキームであり、今後拡大できる可能性があります。連合傘下の労組にとっても立憲民主党支持では労組の主張は何も政策に反映されないことから、自民党に組織内候補を送り込んだ方が実利的です。これが進むと連合傘下の組合が自民党から引き剥がされて行き、連合の影響力がなくなることから、連合自体が自民党と政策協定を結んで自民党支持に転じる可能性があります。

矢田氏がこれまで属した国民民主党には維新支持者もいることから、この議員たちを支持する労組は維新支持に回ると思われます。維新は身を切る改革を掲げ議員定数削減などで実績をあげていることから、労組としては自民党より支持しやすいと考えられます。

このように矢田補佐官人事はこれまで立憲民主党支持で結束していた連合傘下の労組が個別に離脱し、自民党または維新公認で組織内候補を立てる先駆けとなる可能性が高く、その場合行き着く先は自民党と維新の保守2大政党になると思われます。